2011年12月18日日曜日

ゼロ年代のベルリン、東京都現代美術館

東京都現代美術館で、2011年9月23日から2012年1月9日まで「ゼロ年代のベルリン − わたしたちに許された特別な場所の現在」が開催されています。これに昨日(2011年12月17日)行ってきました。

ゼロ年代とは聞き慣れない呼び方ですが、これは60年代というのが1960年から1969年を表しているのと同様、21世紀の最初の10年、もっと正確に言えば20世紀の最後の年から始まる10年を表している言葉です。つまりこの展覧会は21世紀の初めの10年間にベルリンで起こっている状況を紹介しようと言うのもです。
東京現代美術館のチーフキュレーターの長谷川祐子さんと、ドイツのアンジェラ・ローゼンバーグさんが、キュレーションをされています。

ベルリンは、1989年のベルリンの壁崩壊でそれまでの政治的なコンテクストから離れた場所になり、またグローバル資本主義の中心地にもなっていないという、一種自由な空間になっているようで、様々な芸術が存在しやすい空間になっているようです。

この展覧会で二つのことを感じました。一つは、ここで取り上げられている作家が世界各地からベルリンに集まった人たちであること。二つ目は、「物語」に対する関心の強さです。

作家は次のようになっています。
サーダン・アフィフ、フランス生まれ、
ネヴァン・アラダグ、トルコ生まれ、
ヨン・ボック、ドイツ生まれ、
ジェイ・チャン、米国生まれ、& Q タケキ・マエダ、日本生まれ、
フィル・コリンズ、英国生まれ、
オマー・ファスト、イェルサレム生まれ、
サイモン・フジワラ、英国生まれ、& カン・フジワラ、日本生まれ、
イザ・ゲンヅケン、ドイツ生まれ、
カタリーナ・グロッセ、ドイツ生まれ、
クリスチャン・ヤンコフスキー、ドイツ生まれ、
アリシア・クワデ、ポーランド生まれ、
シモン・デュプレー・メラー、デンマーク生まれ、
キアスティーネ・ループストーフ、デンマーク生まれ、
アンリ・サラ、アルバニア生まれ、
マティアス・ヴェルムカ、ドイツ生まれ、& ミーシャ・ラインカウフ、ドイツ生まれ、
ミン・ウォン、シンガポール生まれ、
ヘギュ・ヤン、韓国生まれ、
ここには、地域、人種、歴史を超えた、アートを通じての人のネットワークが感じられます。

「物語」との関連は、展示会場最初にあるアリシア・クワデの、陶器の踊る人々の人形を組み合わせた作品からまず感じました。華飾な衣装と、社交的な仕草のなかで、どこに向けて踊っているのだろうかと。
直接「物語」をしていたのは、サイモン・フジワラのインスタレーションとビデオ作品で、ここでは、サイモン・フジワラが自ら演じて、東西の相剋・父との相剋をまさに語っています。ミン・ウォンは、イタリアの映画監督ピエロ・パオロ・パゾリーニの作品「テオレマ」の登場人物を自ら演じています。
オマー・ファストは、4面のスクリーンを2面づつに分けて、それぞれのペアーを背中合わせにして前と後ろから影像を見られるようにしています。ここでのトリックは音声は一つで、背中合わせの画面は別のものになっているということ。ここでは「物語」の虚構性が見えてきます。
マティアス・ウェルムカとミーシャ・ラインカウフのビデオ作品では、街のあちこちで空中ブランコをしてみせます。そこでは社会の常識・こうあるべき・それは危ないからだめ、といったことに対する異議申し立てがあります。

ベルリンという場所でのアーティストの活動を取り上げて、現代のアートに迫ろうという今回の企画、もう一度行ってみたいなと思わせるような展覧会でした。





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