2012年6月30日土曜日

三菱一号館美術館 バーン=ジョーンズ展

金曜日の夜に行くなら、三菱一号館美術館くらいの大きさの美術館がベスト。というわけで、昨晩、バーン=ジョーンズ展に行ってきました。

実は、ラファエル前派は私の苦手な領域です。図像の象徴性、中世風物語への接近、生活と芸術をいっしょにしようなどと考えているウィリアム・モリスとの密接な関係、などがどうも好きになれない理由で、絵画はもっと純粋でなければいけないという思いです。

ところが、見てみると、引きつけられる所が多い、これは不思議でした。
気になった作品は、


  • 黒チョークでバーン=ジョーンズ好みの女性が描かれている、《ディスベ − ピュラモスとディスベの物語》
  • 運命を表す大きな車輪のそばに3人の男がいる、《運命の車輪》
  • バーン=ジョーンズの自画像だと言われる、《魔法使い》
  • 大きな海蛇が気味悪い、《果たされた運命:大海蛇を退治するペルセウス》
  • 皆が寝てしまっている、《眠り姫 − 連作「いばら姫」》
19世紀の中世に憧れるイギリスに興味がある方は、展覧会に足を運んでみると良いと想います。展覧会は8月19日までです。

私がバーン=ジョーンズのことを嫌いでなくなったのは、古代中国美術を勉強しているせいで、へんな物語や、へんな造形に対して、免疫ができたせいかもしれません。

2012年6月17日日曜日

今日は雨の中屋外活動「建築見学散歩」横浜山手編

今日は残念ながら雨でしたが、いつもの建築散歩同好の皆さんと横浜山手に行ってきました。いわゆる「洋館」が今日の目玉。


  • 山手カトリック教会、J.J.スワガー、1933
  • カトリック横浜司教館別館、1927
  • カトリック横浜司教館、妻木頼黄、1937
  • 山手公園管理事務所(旧山手68番館)、1934
  • ブラフ18番館
  • 外交官の家(J.M.ガーディナー)、1910
  • 山手214番館
など。

上下式窓、鎧戸、出窓、スレート屋根など、「洋館」の意匠を満喫しました。
ブラフ18番館には、横浜に関する図書が読める部屋などもあります。興味があれば、行ってみるのも良いかもしれませんね。


2012年6月10日日曜日

ブリヂストン美術館開館60周年記念 収蔵品展

ブリジストン美術館開館60周年記念ということで、「あなたに見せたい絵があります。」というサブタイトルの展覧会が行われています。石橋財団ブリヂストン美術館蔵の作品ばかりでなく、石橋美術館の収蔵品からも、展示されています。

今回の展覧会は、様式別や作者別ではなく、1章「自画像」、2章「肖像画」、3章「ヌード」、4章「モデル」、5章「レジャー」、6章「物語」、7章「山」、9章「川」、10章「静物」、11章「現代美術」、という構成です。
そういうわけで、日本の作品も海外の作品も一つの部屋の中で隣同士で展示されています。雪舟、クールベ、セザンヌ、岡鹿之助が「山」という括りで同じ部屋に展示されているので、びっくりします。

ブリジストン美術館の収蔵品は見たことがあるものが多いのですが、今回は見て面白かったのは(良い絵だという観点ではなく、たまたま気になったという観点です)


  • マネ、《自画像》、1878−79、マネにかかると自画像もこうなる。
  • 中村彝、《自画像》、1909、暗いな。
  • 関根正二、《子供》、1919、技術的には?だとは思うのですが、なぜか惹きつけられます。
  • マチス、《画質の裸婦》、1899,最近マネの色彩に関して話を聞いたので、改めて色使いを確認。
  • 浅井忠、《グレーの洗濯場》、1901,浅井忠は随分年をとってからフランスに行ったんだなと気づきました。
  • ポロック、《Number2》、1951、東京近代美術館のポロック展で、ポロック全盛期後に興味があったので。
雪舟の、石橋美術館蔵《四季山水図》は、《山水長巻》を見た後だったので、うーん。
青木繁は、ブリジストン美術館での「青木繁」展でも見ているのですが、どうも好きになれない。

「ブリヂストン美術館開館60周年記念 あなたに見せたい絵があります」展は、2012年6月24日までです。






2012年6月3日日曜日

東京都美術館から、東京藝術大学大学美術館の「高橋由一」展へ

今日は、彫刻を造っている友人が展覧会を行っているというので、東京都美術館の「創型展」へ。公募展に立寄る事は少ないので、こんなことになっているのかと、興味深く見せてもらいました。彫刻は今でも仏像とか人物象が多いんだなとか思いながら会場を一巡。

東京都美術館はリニューアルしてから初めてでしたが、メインの入り口が南側に変わっていました。

その足で、東京藝術大学大学美術館の「近代洋画の開拓者 高橋由一」展へ。
高橋由一は、明治時代に時代に翻弄された洋画の先駆者だという知識はもっていても、作品は《鮭》を見た事があるくらいだったので、これだけ高橋由一の作品を一同に見られるのは貴重な機会でした。

会場の最初にある、「油絵以前」という章では、墨を使って西洋画的な試みをしているのが面白い。墨を使って水墨画の伝統に基づかない絵を描こうとするとどうなるのかが判ります。
その後、展覧会は「人物画・歴史画」、「名所風景画」、「静物画」、「東北風景画」と章立てされていますが、私が面白かったのは肖像画、江戸時代から明治時代へ変わる当時の人々がリアルに表現されています。

「高橋由一」展は6月24日までです。