2012年10月22日月曜日

近江路の神と仏 2回目の見学

三井記念美術館の「近江路の神と仏」展に、良く展覧会に行く皆さんといっしょに行ってきました。この展覧会に行くのは2度目になります。今回は展覧会カタログも買ってきましたので、少し復習を。
  • 善水寺の誕生釈迦仏立像。奈良時代8世紀の銅造の仏。入り口すぐの所にあります。釈迦が生まれてすぐ、獅子吼した時の姿を表していて、右手を天に向け左手は地に向けています。腕は、幼児のように太く表現されていますが、頭はちょっと小さめ。
  • 石山寺如意輪観音半跏像。石山寺の旧本尊の前立仏(平常公開されない秘仏の前に身代りとして安置される仏)と伝えられています。10世紀後半の作。如意輪観音は六観音の一つで、無限の宝を出す宝珠と煩悩を打ち砕く法輪の功徳で、衆生の苦を救い,宝財を施して願望を意の如く成就するそうです。如意輪観音は六臂が多いのですが、この像は時代の古い二臂の作例です。
  • 明寿院大黒天半跏像。11世紀の作。甲冑をつけた武装大黒天といわれる姿です。大黒天の起源に関しては、インドのシヴァ神、クベーラ神説などあり大変興味深いので、また勉強したいと考えています。後の時代には大黒天は大国主神と習合して、いわゆる「大黒さま」になって行きます。
  • 櫟野寺(いちいのでら)十一面観音立像。10世紀の作。像高167.4cmと大きく存在感があります。様々な方向から顔をみると、表情が変化して、写真の図像よりもずっとよいと感じました。
  • 永昌寺地蔵菩薩立像。10世紀の作。永昌寺は甲賀の農村にある天満宮の別当寺です。像は量感のある体躯をしていて、深く刻まれ衣文は、きっちりと整理されています。最初は僧形神像だった可能性もあるといわれているようです。
  • 石山寺多宝塔の大日如来座像。鎌倉時代12世紀、快慶の初期の作です。顔は大きいのですが天冠台を頭の上に載せているせいか、全体のバランスはとれていると感じます。前で見ていると迫力ある顔が迫ってくるようです。衣文や足の曲線などが美しく表現されています。
涅槃図など仏画にも面白いものがありましたが、夜も遅くなってきたので、今日の復習は仏像に留めておきます。

「近江路の神と仏」展は三井記念美術館で11月25日までの開催です。

2012年10月21日日曜日

五島美術館 新装開館記念「時代の美」

五島美術館が10月20日に新装開館の運びになったので行ってみました。外観などが変わったわけではないので、それほど新しくなったという印象はありませんが、ここが開かれるのは嬉しいことです。

新装開館記念として「時代の美」をテーマに、連続して展覧会が開催されます。


  • 奈良・平安編が2012年10月20日〜11月18日
  • 鎌倉・室町編が2012年11月23日〜12月24日
  • 桃山・江戸編が2013年1月5日〜2月17日
  • 中国・朝鮮編が2013年2月23日〜3月31日
奈良・平安編の前半・後半に分かれていて、目玉の一つである《源氏物語絵巻》は後半の展示になるので注意が必要です。前半が10月20日〜11月4日、後半が11月6日〜11月18日です。

奈良・平安は、古写経、古写本、古筆の展示が多いので、そちらに興味があまりないとちょっと辛いかもしれません。絵画は、《過去現在因果経断簡(益田家本)》、《麻布山水図》、《観普賢経冊子》、《高僧図 石山寺観祐筆》、《沙門地獄草紙断簡(益田家本甲巻) 火象地獄図》、玄証本 高山寺旧蔵の《白描応現観音図》、《白描執金剛神像》、《白描四天王図像》が展示されています。

2012年10月20日土曜日

シャルダン展 三菱一号館美術館

シャルダンの絵が好きだというのは、ちょっと恥ずかしいような気がします。美術には尖った所があるべきだといつもは思っているせいかもしれません。でも、シャルダンには引きつけられるものがあります。

三菱一号館の「シャルダン展 − 静寂の巨匠」に引き寄せられてしまいました。

シャルダンは1699年生まれですから、まさに18世紀の画家です。ロココが流行る時代に、当時のアカデミーの序列ではレベルが低いとされた静物画を描き始め、後に売れる風俗画を描くようになりますが、晩年になってまた静物画に戻って行きます。静物画が好きだったのでしょう。シャルダンの静物画は、17世紀オランダの静物画のように多くのものを配置し艶やかかに描くものではなく、シンプルな構図の中に数種類の果物を静かなたたずまいの中に置くような作品です。

桃の盆とぶどう
桃の籠とぶどう
すももの籠
水差しとフロマージュ・ブランのある静物
水差しときゅうりとさくらんぼ
木いちごの籠
ティーポットとぶどう
葡萄の籠
銀のゴブレットとりんご
桃の籠

ここに書いたのは今回の展覧会で展示されている作品です。
タイトルを見ただけでもおいしそうですね。
紅茶に浸したマドレーヌから小説を展開したプルーストもシャルダンに惹かれたようですが、それもわかるような気がします。

「シャルダン展」は三菱一号館美術館で2013年1月6日まで開催しています。

2012年10月13日土曜日

中国王朝の至宝 東京国立博物館

2012年10月10日から東京国立博物館で「中国王朝の至宝」展が始まりました。中国美術に興味がある私としては、これは行かなくてはいけない、ということで金曜日の夜に早速見に行きました。見る時間が短かいので、全部見られないかなと思っていましたが、予想通り唐まで見た所で夜8時になり、また行かなくてはになってしまいました。

今回の展示の特徴は、黄河流域の中原だけではなく、長江流域の文化にもかなり目配りをしていた点でしょうか。

私が興味を持った展示品の中から一部を紹介すると、
  • 現在の四川省にある三星堆遺跡2号祭祀坑から出た《突目仮面》。これは青銅の仮面ですが、見て驚くのは大きいこと、高さ82.5cmあります。名前の通り目が飛び出していて、額から上の方に一本角のようなものが伸びています。
  • 同じく三星堆遺跡2号祭祀抗の《人頭像》。青銅の上に金を貼付けた顔です。顔の造作が大きいのが面白い。
  • これも現在の四川省にある金沙遺跡から出た、玉でできた《玉琮》。玉琮とは中央が空いた円筒に直方体がついたもので、この玉琮では4段の直方体がついている。高さが16.6cmある大きな玉です。
  • 現在の河南省から出た、夏の時代の《動物文飾板》、二里頭遺跡出土。青銅の上に緑松石で模様が美しい。
  • 河南省出土の殷の時代の《方鼎》。今回青銅器はそれほどたくさんは出品されていませんが、これは大きくて見応えがあります。
  • 現代の湖北省、楚の貴族「邸陽君」の夫人の墓「天星観2号暮」から出土された、《羽人》、《虎座鳳凰架鼓》、どちらも木に漆、羽人のほうは革も使っている。造形が面白い。
  • 山東省出土の戦国時代の《犠尊》。青銅に金・銀・緑松石の象嵌。架空の動物だが、その動物の柔らかい質感が素晴らしい。
  • 秦始皇帝兵馬俑の《跪射俑》。等身大の俑。凛々しい顔の兵士の、このリアリティ。
  • 陝西省出土の前漢の《竹節柱博山炉》。青銅に鍍金銀。高さ58cmで竹のような節のある棒の上に神山である博山という山がついている。
ここまでで、まだ前漢です。

今まで、中国美術に関心が無かった方も、ぜひこれを機会に中国美術を見てみたらどうでしょうか。展覧会は12月24日まで開催です。

2012年10月8日月曜日

近江路の神と仏 三井記念美術館

三井記念美術館で、「琵琶湖をめぐる 近江路の神と仏名宝展」が行われています。
近江の古社寺に伝わる、奈良時代から鎌倉時代にかけての、仏像、神像、絵画が約100点展示されています。国宝/重要文化財も多数あり、見所満載です。

琵琶湖の周辺は、日本の文化の中心に近く、しかも社会的な混乱から逃れることができたせいで、古いものが残っているのでしょうか。

仏像、仏画の中から何が良かったかを言うのは難しいですが、無理に選ぶとすれば石山寺の快慶作《大日如来座像》でしょうか。

三井記念美術館で2012年11月25日までの開催ですが、絵画は前・中・後期に分けて展示替えされますから、出品目録を見て行くようにするのが良いと思います。

2012年10月7日日曜日

久しぶりの、ギャラリー巡り

昨日は、久しぶりにギャラリー巡りのグループで、浅草橋から馬喰町、東神田近辺のギャラリーを巡ってきました。

ギャラリー名 住所 展示内容

ラディウム-レントゲンヴェルケ 中央区日本橋馬喰町2-5-17 渕沢照晃個展。銅版エッチングの版画と銅版を眼鏡状の額に納めた作品

unseal contemporary 中央区日本橋馬喰町2-5-17 (レントゲンの裏にあります) 小倉涌個展。第二次大戦後のマッカーサーが降り立った日本をモチーフにして、そこに見えるものは何か

KOKI ARTS 千代田区東神田1-15-2 ローズビル1F 高嶋英男展。そこにあるのは陶器の花瓶の内側の暗がりをこちらに向けた人体像
αM 千代田区東神田1-12-11 アガタ竹澤ビルB1F 「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう」シリーズの小西紀行展。今、家族を表現するにはどうするか、これは一つの答えか
TARO NASU 東京都千代田区東神田 1-2-11 宮本隆司「薄明のなかで見よ」展。スイスから提供されたピンホール・カメラで撮影した新作約30点
Maki Fine Arts 中央区日本橋大伝馬町15-3 内田ビル1F 池田衆展。写真を切って、貼ってみると、そこにできるものは、新たな世界
KANEKO ART TOKYO 千代田区岩本町2-6-12 曙ビル1F 神川智子展。青い絵具の連なりから見えるものは何だろう
fabre8710 千代田区神田東松下町19 興亜第1ビルB1/B2 小田原亜梨沙展。ここにあるのはちょっとした日常の空想の物語

2012年10月5日金曜日

リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝 国立新美術館

国立新美術館でリヒテンシュタイン家のコレクション展が開催されています。リヒテンシュタイン公国の元首であるリヒテンシュタイン家の個人コレクションで、個人コレクションといては英王室につぐコレクションだといわれています。

ルネサンス期から19世紀にかけてのコレクションから、今回はバロックを中心に139点日本にきています。

気になる展示をいくつか紹介すると。

  • ルーベンス《キリスト哀悼》1612、油彩・カンヴァス。キリストが十字架から降ろされた後、マリアをはじめ人々が取り囲み悲しみにくれる図です。キリストを斜めに配した構図、それぞれの人の涙の描きわけなど、見所がたくさんあります。
  • ルーベンス《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》1616、油彩・カンヴァス。ルーベンスの5歳の娘の肖像。顔を描くタッチが素晴らしい。
  • ヴァン・ダイク《マリア・デ・タシスの肖像》1629/30、油彩・カンヴァス。以前このブログにも書きましたが、肖像を書いてもらうのならヴァン・ダイクですね。絶対うまく描いてくれます。
  • ルーカス・クラナッハ(父)《聖エウスタキウス》1515/30、油彩・板。さすが北方の画家、十字架を頭に付けた鹿が聖人の前に現れた場面が、細かい所まで緻密に描かれています。
  • グイド・レーニ《マグダラのマリア》17世紀前半、油彩・板。マグダラのマリアらしさが表れています。
  • マディアス・ラウフミラー《豪華なジョッキ》1676、象牙。象牙製のジョッキで、サビニの女達の略奪の場面が細密に彫られています。
絵画だけでなく、家具、工芸もありますから、時間をかけて観ると良いと思います。特にバロックや、ルーベンスが好きな方にお勧めです。

国立進美術館で2012年12月23日までの開催です。