2011年12月31日土曜日

清明上河図

2011年12月13日の朝日新聞朝刊を見た人はビックリしたと思います。その一面には、「神品 日本へ、清明上河図 北京故宮展に」とあったからです。いくら朝日新聞が主催しているとはいえ、絵が一つくるだけで新聞の一面かと思った人が多いのではないでしょうか。《清明上河図》って何という人も多かったでしょう。そこで《清明上河図》に関して調べたことを整理してみました。

《清明上河図》は中国北宋の時代(960年-1127年)の末期に、張択端(ちょうたくたん)が描き、第八代皇帝徽宗に献上したと伝えられています。内容は、宋の都だった開封の街の内外の様子を描いたもので、当時の庶民の生活がいきいきと表現されています。季節は清明節の頃で、今で言うと4月のはじめになります。絵の中を流れている河は汴河(べんが)だと言われています。
作者、作品ができた時期、描かれた内容に関しては、他の説もあるようですが、北宋の街のにぎわいを描いたものであることは間違いないようです。

幅は24.8cm、長さ5m28cm。中に描かれている人の数は550人以上、という大きな作品です。

開封は現在は河南省の地方都市ですが、紀元前2000年の夏王朝がこの近くを拠点としていたことが知られ、中国でも最も古くから発達した地域です。随のころには黄河と淮河を結ぶ運河である汴河が作られ黄河流域と長江流域を結ぶ交通の要所になります。北宋の頃には、都として、また海運の中心として栄えていました。人口も100万はあったと言われています。

このように商業で栄えた活気ある街の絵が、《清明上河図》です。絵は、3つのパートに分かれていて、右は街の外の田園風景、真ん中が汴河にかかる紅橋を中心とする商業地、左が都市の中になっています。
その当時の、家並、商家、酒樽、船、ロバや駱駝、荷車、船頭、通行人、講釈師など、一つ一つに興味を惹かれそうです。

このような街の絵は、ヨーロッパの絵では見たことが無いですね。フェルメールのデルフトの絵には人の庶民の生活の様子はでてこないですし・・・。日本だと洛中洛外図がこれに近いでしょうか。庶民の生活を描いた絵が中国で一番人気がある絵だというのが面白いですね。また、北宋の時代は精神性の深い水墨画が発展した時期でもあったはずです、そういう文化と庶民の絵を描く文化が共存していたというのも興味深いですね。

《清明上河図》は、東京国立博物館で行われる、『日中国交正常化40周年 東京国立博物館140周年 特別展「北京故宮博物院200選」』で、2012年1月2日から1月24日の間だけ展示されます。(展覧会自体は2月19日まで開催されています)。ぜひ見に行きましょう。

関連情報の収集先としては展覧会のウェブサイトがあります。
http://www.kokyu200.jp/

またちょうど図ったように2011年12月に発刊された本があります。『謎の名画・清明上河図 北京故宮の至宝、その真実』野嶋剛、勉誠出版。野嶋さんはジャーナリストで絵の解説だけでなく、《清明上河図》にまつわる来歴や、開封という街のことが書かれています。

2011年12月30日金曜日

没後150年歌川国芳展に行く

「没後150年歌川国芳展」が大阪市美術館、静岡市美術館からの巡回で東京に来ています。森アーツセンターギャラリーで2011年12月17日から2012年2月12日の開催です。昨日は仕事が休みだったのでこれを見に行きました。もう今週は休みになっている美術館が多い中、ここは年末年始もオープンしています。

歌川国芳は1797年(寛政9年)生まれ、1861年(文久元年)没です。
東洲斎写楽が作品を世に出した年は寛政6年ですから、写楽をプロデュースした蔦屋重三郎などが活躍した浮世絵全盛期の後に生まれたわけです。
当時の社会環境を調べてみると次のようになります。
江戸四大飢饉の一つ「天保の飢饉」が発生するのが1833年から1839年。
貨幣経済が進んだことによる幕府財政の逼迫に対応するために、老中水野忠邦が農業を中心として社会を再興しようとした天保改革が行われたのが1841年。この時には寄席が封鎖され、歌舞伎も江戸の中心から移転させられました。
浦賀にペリーが黒船で来航したのは1853年。

このような波乱に富んだ中で、もしかしたら現在の日本にも通じる、このままは続かないという危機感と、何かを行おうとしてもできないという閉塞感の中で、歌川国芳は生きたことになります。

歌川国芳が注目されるのは1827年から出版された「通俗水滸伝シリーズ」だと言われています。このころ伝奇小説である読本(よみほん)が流行るようになり、曲亭馬琴などの人気が高かったそうです。その中で水滸伝も人気があったようで、国芳も水滸伝の英雄を描いた作品を出したものと思われます。
水滸伝は中国の四大奇書の一つで、北宋の徽宗帝のころ起こった反乱に題をとり、英雄達が梁山泊に集結し悪い支配者階層をやっつけ国を救うという120回に及ぶ長大な物語です。最終的には反乱を起こした人々も宋の王朝に忠義をつくすという話だということで、儒教的にも好ましい話だと言うことになっていたようです。日本では1728年以降に和訳され広まりました。

さあ、国芳展に行ってどうだったんだという話をしなくてはいけないのですが、正直、講談的な物語や、昔の武士が凄んで怖い顔をしている絵や、赤と青の対比を使ったどぎつい色の使い方など、どうも抵抗があります。近代化を進める中で、捨てるべき封建的なものといった先入観があるのかも知れません。
私は、白髪一雄さんが水滸伝をテーマにした作品を作られているのを横須賀美術館で見た時も、なぜと思ってしまいましたから、これは生理的なものかもしれませんね。
見て良かったと感じたのは、《坂田怪童丸》や《相馬の古内裏》などの構図の大胆さ・面白さや、《金魚に目高》など動物を使った作品のユーモラスさ、でしょうか。
世の中には国芳がすごく好きという人もいて、橋本治さんは、『ひらがな日本美術史6』新潮社刊の中で、約40ページを費やして歌川国芳のことを書いています。国芳は人による好き嫌いが激しい絵なのでしょう。

日経ビジネスオンラインに掲載された浮世絵研究家の岩切友里子さんの記事「歌川国芳幕末の奇才浮世絵師」によると、2009年にはロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで「KUNIYOSHI展」が開催され、ロンドンの人に評判は良かったということです。歌川国芳にはグラフィティ、マンガ、サブカルチャーに通じるところがあるようです。
今回も、会場の中は若い人がかなり多いという印象でした。

今回の展覧会は前期(12月17日-1月17日)と後期(1月19日-2月12日)で作品がほとんど入れ替わりますから、興味のある方は前期と後期2回行く必要があります。



2011年12月28日水曜日

松井紫郎 亀がアキレスに言ったこと

今年夏、2011年6月11日から8月28日まで、豊田市美術館で松井紫郎さんの「亀がアキレスに言ったこと 新しい世界の測定法」という展覧会が行われました。
展覧会は、大きな青いチューブを1階から2階にかけて設置して人がその中に入れるようにした作品や、シリコンラバーを壁にグニャッと置いた作品など、材料にこだわった作品が多く楽しめたのですが、今日はそっちではなく、タイトルの「亀がアキレスに言ったこと」にこだわってみます。

亀とアキレスというと、ギリシャのゼノンのパラドックスを思い出します。これは亀とアキレスが競争をする話で、亀がハンディキャップをもらってアキレスより前からスタートすると、アキレスは絶対亀に追いつけないというものです。その理由は、アキレスが亀が元いた位置にたどり着いた時には、亀はより先に進んでしまっている、つぎにアキレスが亀の行った所まで行くと、亀はさらに進んでしまっている、故にいつまでたっても亀はアキレスに追いつかないという話です。有限の距離を無限に分割できるということに気がつかないと、確かに「アキレスは亀に追いつかない」になってしまうわけです。

でも松井紫郎さんがつかっているのは、直接この話ではありません。この話をもとに、不思議の国のアリスで有名なルイス・キャロルが作った「亀がアキレスに言ったこと」のほうです。ルイス・キャロルは1895年にMIND誌にこの対話編を書いています。この話は、昔の文書の翻訳を無償でWEBで提供しているプロジェクト杉田玄白のなかに、全文が日本語で載っていますので、興味がある方は「亀がアキレスに言ったこと」でGoogle検索してみてください。
内容は、亀がアキレスに論争をしかけて、無限背進に誘い込むというものです。


A:同一のものに等しいものはお互いに等しい。
B:三角形の二つの辺は同一のものに等しい。
Z:この三角形の二つの辺はお互いに等しい。
普通はこれで「そうだね」になりそうですが、もしも亀がこれを認めず、アキレスが説得しようとすると、


A:同一のものに等しいものはお互いに等しい。
B:三角形の二つの辺は同一のものに等しい。

C:もしAとBが真ならば、Zも真でなくてはならない。
Z:この三角形の二つの辺はお互いに等しい。
となります。これも亀が認めないと、アキレスは、


A:同一のものに等しいものはお互いに等しい。
B:三角形の二つの辺は同一のものに等しい。

C:もしAとBが真ならば、Zも真でなくてはならない。
D:もしAとBとCが真ならば、Zも真でなければならない。
Z:この三角形の二つの辺はお互いに等しい。
これも亀が認めないと、アキレスは無限に前提を付け加えなければいけなくなるというもの。これは論理学の基本をつきつめるとどうなるかということで、いろいろな哲学者も言及しているらしく、なかなか奥が深い問題らしいです。

それでは、なぜ松井紫郎が展覧会のタイトルに、「亀がアキレスに言ったこと」を使ったのでしょうか。ここは展覧会図録にある豊田市美術館学芸員「つづくまさとし」氏の解説を見てみましょう。「キャロルの対話劇では、ついにアキレスに追いつかれたカメが、新たな命題を吹っ掛け、アキレスを更なる無限パラドクスへ追いやる、という実にユニークなストーリーが展開されている。カメは、ゼノンの無限パラドクスを引き継ぐかたちで新たな無限パラドクスを生み出し、再び、アキレスを深い思索の旅へと送り込んだのである。同じように松井紫郎は、この展覧会において、先達たちが切り拓いてきた成果に学んだ独自の造形表現を通じて、新たな時空概念の謎へと我々を連れ出そうとしているのかもしれない。」

というわけで、松井紫郎という亀さんは、なかなか楽しい造形表現の迷宮と、論理学の迷宮に、私を連れ込んでくれました。







2011年12月27日火曜日

プラド美術館トリビア

昨日はゴヤ展のことを書いたので。今日はその繋がりでプラド美術館に関するトリビア。

最初はハプスブルグ家出身のスペイン王カルロス一世(1500-1558)によって始められたコレクションからはじまります。【カルロス一世は神聖ローマ皇帝カール五世と同じ人物】
その後、エスコリアル宮殿のコレクションはフェリペ二世(1527-1598)に引継がれ、ブエン・レティーロ宮殿のコレクションはフェリペ四世(1605-1665)に引継がれました。
フェリペ四世はベラスケスの後援者で、ベラスケスのラス・メニーナスの鏡に映っているのはフェリペ四世夫妻です。
さらに、フランス王ルイ十四世の孫で、スペイン・ブルボン朝の最初の王、フェリペ五世(1683-1746)によりイタリアやフランスの絵画が加えられます。
現在のプラド美術館の建物がたてられたのは、カルロス三世(1716-1788)の1785年の指示によりますが、その時には美術館にするとは決めていなかったそうです。
その後カルロス四世(1748-1819)がこのコレクションを引継ぎます。ゴヤが描いた赤い服が印象的なカルロス四世の肖像は今回西洋美術館にも来ていましたね。
カルロス三世が建てた建物を、フェルナンド七世(1784-1833)が、1819年に「王立美術館」にします。
1868年のスペイン9月革命後「プラド美術館」に改称されます。

現在は年間250万人の来館者があるそうです。


2011年12月25日日曜日

ゴヤ光と影

国立西洋美術館で行われている「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」をやっと見に行きました。展覧会は2011年10月22日から2012年1月29日までの開催です。
これは、王道の企画展です。誰でも知っている《着衣のマハ》を含むゴヤの作品をプラド美術館から借りてきて、それに国立西洋美術館が所蔵しているゴヤの版画作品を合わせて展示するというものです。
国立西洋美術館も大勢の観客が来るのを想定している様子で、入り口もいつもの建物の中に入って右にまがり階下に降りるルートではなく、建物の外を廻って階下に降りるルートになっていました。また作品も、割に小さな素描とか版画作品が多いのですが、かなり高い位置に、床から165cmくらいの所に展示し、混んでも後ろから見られるようになっていました。
幸いなことに、今日はクリスマス連休の日曜日のせいか会場はそれほど混んでなく、ゆっくり見ることができて満足しました。

ゴヤは1746年生まれ1828年没ですから、社会が大きく動く時代に生きていた人です。
ちょうど産業革命の時代です。フランス革命が1789年。スペインの海軍がトラファルガーの海戦で負けるのが1805年。ナポレオンのスペイン戦役が1808年。宮廷画家であったゴヤはいろいろなものを見ずにはいられなかったわけです。ゴヤは1792年に聴力を失っていますから、嫌なことは聞かなくてすんだわけですが・・・。

今回の展示も大きく分ければ、王族の肖像画、宮殿のタペストリーの下絵、大臣の要請でマハを描いている光の時代の作品と、腐敗した聖職者や戦争を見て人の愚かさに絶望した影の時代の作品に分かれます。鑑賞する人も快活な楽しさと重苦しさとを両方体験しなくてはいけないようになっています。

通して見て、すばらしいなと思うのは、ゴヤの人間観察者としての目ですね。スペイン女性のマハの挑発的なポーズ、戦争や愚かなことをしている人の表情や動作、悪夢の中のように空中に浮かんでいる人の不安定な形、それぞれ見事な形をしています。そして物理的な形体の中にある、快感であったり、怒りであったり、諦めであったりする、感情の動き。

もちろん《着衣のマハ》にも改めて魅せられました。

2011年12月24日土曜日

ザ・ベスト・オブ・山種コレクション

昨日、2011年12月23日に、山種美術館で行われているザ・ベスト・オブ山種コレクションを見に行きました。前半と後半に展示替えがあり、11月12日から12月25日が前半で江戸絵画から近代絵画へ、1月3日から2月日が後半で戦前から戦後へとなっています。

近代の日本画は、私が敬遠していた分野で、どう接したら良いのかと迷いがありあます。誤解を恐れずに言えば、近代日本画は日本という特殊な環境の中でのガラパゴス絵画なのか、またガラパゴスでも良いけれどそこに何か感じられるものがあるのか、という思いです。
また今回の展覧会に関して言えば、タイトルに、何故、”ザ・ベスト・オブ”とか、”コレクション”とか、英語をカタカナ表記で使わなければ行けないのかというのも疑問です。近代日本画って何なんだろう。

そんな思いは置いておいて、本当に置いておけたのか自信はありませんが、作品を見てみました。

展示会は、琳派から始まっていました。このへんは日本画という言葉も無い時代の作品ですから安心して見られます。俵屋宗達と尾形光琳の《四季草花下絵和歌短冊貼》、いま手元に図版もありますが、この微妙な色や線は図版ではわかりませんね。できるものなら欲しい。酒井抱一の《秋草鶉図》、草の線、ちょっと入った色の具合、これもいいですね。
反対側の壁には、岩佐又兵衛の《官女観菊図》、池大雅の《指頭山水図》、そして鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、歌川広重、葛飾北斎、なるほどいいな。

ここからが問題の近代日本画。
橋本雅邦の《日本武尊像》、官の学校の先生ですから、日本の歴史画を描かなくてはということかな。
川合玉堂が漢画からだんだん離れて日本の原風景的なものを描くようになるのを見ます、日本の原風景にあまり思入れのない私としては、それがどうした感、玉堂先生ごめんなさい。
菱田春草の《月四題》、批判精神を忘れて、なんかいいな。ガラパゴスでもいいや。
下村観山の《老松白藤》、大作ですね、桃山時代の豪壮さとも、江戸時代の整った感じとも違う六曲一双の屏風絵。大正10年の作。ヨーロッパでは第一次世界大戦が終わり、ロシア革命が起きたあとの作品ですね、でもここにはそんなこと知らないという世界があります。
竹内栖鳳の《斑猫》、これは超絶技巧、いい猫だな。でも、それを描いてどうするんですか栖鳳さん。
上村松園の美人画、8頭身以上ある、近付き難いきりっとした女性達。
安田靫彦の《出陣の舞》、織田信長が人生五十年といいながら舞っている所です、こえは昭和45年の作品。ということは86歳のときの作品。洋画の画家が早く死んでしまっているのに比べると日本画の画家の寿命は長いですね。どんな絵を描いたらいいんだというストレスが少ないのかな、などと言っては失礼でしょうか。
速水御舟の《名樹散椿》、これは構図が斬新。また、図録ではわからないと思いますが、背景の金色のグラデーションがたいへん微妙で美しいですね。

と、怖いもの知らずで、勝手なことを言った、今日のブログでした。
来月の後半も見に行きましょう。

2011年12月23日金曜日

東京都現代美術館友の会

この前の土曜日に東京都現代美術館に行った時に友の会の申込をしてきました。昨日会員証が届きました。

会員の特典には次のようなものがあります。
・常設展が無料
・企画展が半額
・ミュージアムショップが5%引き
・レストラン・カフェが5%引き
・有料イベントが20%引き
・東京都庭園美術館、東京都江戸美術館、東京たてもの園の常設展が20%引き
・東京都庭園美術館、東京都江戸美術館、東京都写真美術館が20%引き
・東京都美術館の企画展が団体割引適用

これが年会費1500円です。
すごくお得だと思いませんか。東京都現代美術館に入りびたりになってしまいそうです。

2011年12月22日木曜日

美術検定1級

2011年10月6日に検定試験が行われた2011年美術検定の、1級合格通知が届きました。

今年は記述式問題が昨年とは変わって、展覧会の作り方や地域連携と行った設問から、美術作品への知見を求めるような内容になっていました。また記述式問題は問題Aと問題Bから選択する方式は変わっていないのですが、どちらの問題も西洋美術と日本美術両方を理解していないと解けないというのも特徴でしたね。

通知に同封されていた資料を見ると受験者、合格者は次のようになっていました。
   受験者数  合格者数  合格率
1級                233                43              18.4%
2級              1016               392             38.6%
3級              1239               852             68.8%
4級                665               644             96.8%  

2011年12月20日火曜日

第15回文化庁メディア芸術祭受賞作品決定

第15回文化庁メディア芸術祭の受賞作品が2011年12月15日に発表されました。

メディア芸術祭は、文化庁がメディア芸術の創造と発展を図ることを目的に1997年から行っている祭典で、「アート」「エンターテイメント」「アニメーション」「マンガ」の各部門に分かれて作品を審査します。

作品募集は7月15日から9月22日の間に行われ、審査結果は12月15日に発表されました。

アート部門の審査員は、次の方々です。


  • 岡﨑 乾二郎(近畿大学国際人文科学研究所教授)
  • 神谷 幸江(広島市現代美術館学芸担当課長)
  • 後藤 繁雄(京都造形芸術大学教授)
  • 関口 敦仁(情報科学芸術大学院大学(IAMAS)学長)
  • 原 研哉(デザイナー)


今回のアート部門の大賞は、山本良浩さんの《Que voz feio (醜い声)》です。
2つのスクリーンを使い、双子の女性が語る中で、一つのことも、微妙な差があらわれたり、曖昧になったりすることを、見せる作品のようです。

受賞作品展は、2012年2月22日から3月4日の間、国立新美術館で開催される予定です。



2011年12月18日日曜日

ゼロ年代のベルリン、東京都現代美術館

東京都現代美術館で、2011年9月23日から2012年1月9日まで「ゼロ年代のベルリン − わたしたちに許された特別な場所の現在」が開催されています。これに昨日(2011年12月17日)行ってきました。

ゼロ年代とは聞き慣れない呼び方ですが、これは60年代というのが1960年から1969年を表しているのと同様、21世紀の最初の10年、もっと正確に言えば20世紀の最後の年から始まる10年を表している言葉です。つまりこの展覧会は21世紀の初めの10年間にベルリンで起こっている状況を紹介しようと言うのもです。
東京現代美術館のチーフキュレーターの長谷川祐子さんと、ドイツのアンジェラ・ローゼンバーグさんが、キュレーションをされています。

ベルリンは、1989年のベルリンの壁崩壊でそれまでの政治的なコンテクストから離れた場所になり、またグローバル資本主義の中心地にもなっていないという、一種自由な空間になっているようで、様々な芸術が存在しやすい空間になっているようです。

この展覧会で二つのことを感じました。一つは、ここで取り上げられている作家が世界各地からベルリンに集まった人たちであること。二つ目は、「物語」に対する関心の強さです。

作家は次のようになっています。
サーダン・アフィフ、フランス生まれ、
ネヴァン・アラダグ、トルコ生まれ、
ヨン・ボック、ドイツ生まれ、
ジェイ・チャン、米国生まれ、& Q タケキ・マエダ、日本生まれ、
フィル・コリンズ、英国生まれ、
オマー・ファスト、イェルサレム生まれ、
サイモン・フジワラ、英国生まれ、& カン・フジワラ、日本生まれ、
イザ・ゲンヅケン、ドイツ生まれ、
カタリーナ・グロッセ、ドイツ生まれ、
クリスチャン・ヤンコフスキー、ドイツ生まれ、
アリシア・クワデ、ポーランド生まれ、
シモン・デュプレー・メラー、デンマーク生まれ、
キアスティーネ・ループストーフ、デンマーク生まれ、
アンリ・サラ、アルバニア生まれ、
マティアス・ヴェルムカ、ドイツ生まれ、& ミーシャ・ラインカウフ、ドイツ生まれ、
ミン・ウォン、シンガポール生まれ、
ヘギュ・ヤン、韓国生まれ、
ここには、地域、人種、歴史を超えた、アートを通じての人のネットワークが感じられます。

「物語」との関連は、展示会場最初にあるアリシア・クワデの、陶器の踊る人々の人形を組み合わせた作品からまず感じました。華飾な衣装と、社交的な仕草のなかで、どこに向けて踊っているのだろうかと。
直接「物語」をしていたのは、サイモン・フジワラのインスタレーションとビデオ作品で、ここでは、サイモン・フジワラが自ら演じて、東西の相剋・父との相剋をまさに語っています。ミン・ウォンは、イタリアの映画監督ピエロ・パオロ・パゾリーニの作品「テオレマ」の登場人物を自ら演じています。
オマー・ファストは、4面のスクリーンを2面づつに分けて、それぞれのペアーを背中合わせにして前と後ろから影像を見られるようにしています。ここでのトリックは音声は一つで、背中合わせの画面は別のものになっているということ。ここでは「物語」の虚構性が見えてきます。
マティアス・ウェルムカとミーシャ・ラインカウフのビデオ作品では、街のあちこちで空中ブランコをしてみせます。そこでは社会の常識・こうあるべき・それは危ないからだめ、といったことに対する異議申し立てがあります。

ベルリンという場所でのアーティストの活動を取り上げて、現代のアートに迫ろうという今回の企画、もう一度行ってみたいなと思わせるような展覧会でした。





2011年12月17日土曜日

丸木美術館・Chim↑Pom 2

前回は2階の《原爆の図》を見た所まででした。1階に降りてきます、1階にも《原爆の図》の後期に作られた作品が展示されています。また《原爆の図》以外にも、南京大虐殺や、アウシュビッツの図などがあります。それらは簡単に見て、Chim↑Pom展のほうに向かいます。

Chim↑Pom展「Level7 feat. 広島!!!!」の最初の部屋は福島関係の展示です。渋谷にある岡本太郎の「明日の神話」の右隅に2011年5月1日に追加して話題になった「部分」そのものと、その時のビデオ。福島原発事故後に、原発近くまで防護服を着て行き歩き回った様子を、撮影したビデオ作品。放射能で汚染された植物を除染したのちに使った生花風作品。これらの作品が展示されています。

次の部屋は広島関係の展示になっています。2008年に広島の上空に「ピカ」と飛行機雲を作り物議を醸した時のビデオ作品。広島原爆直後の街で燃えていて、現在まで保存され燃え続けている火を使って、様々なものを一瞬で燃やしてみせる作品。天井から吊るされた巨大な千羽鶴の作品。

これらの展示を見て感じる事は、Chim↑Pomの、メッセージ性、同時代性、です。
それ故、この展覧会を「原爆の図丸木美術館」という象徴的な場所で行う意味は大きいと思います。特にChim↑Pomが広島の「ピカ」でバッシングを受けていた時に、当時の「原爆の図丸木美術館」の館長、針生一郎さんが手を差し伸べた事を考えると、この意味は非常に大きいと思います。
でも、でもですよ、この内容の展覧会はもっと大勢の人が見る場で行われるべき展覧会であるような気がします。なんとかならないものでしょうか。

最後に蛇足ですが、「原爆の図丸木美術館」に行かれる方は厚着をしていくことをお勧めします。美術館を運営されている方の、原発の電力には頼りたくないという意思の現れだと思いますが、館内はかなり寒いです。

丸木美術館・Chim↑Pom 1

埼玉県東松山市の「原爆の図丸木美術館」で、2011年12月10日から12月18日まで、Chim↑Pom展「LEVEL7 feat. ヒロシマ!!!!」が開催されているので、行ってきました。

この美術館は初めてなので、Chim↑Pomの前に、丸木位里・俊の《原爆の図》を見ます。《原爆の図》としては、1950年に描かれた《幽霊》から、1982年の《長崎》まで、15作が作られています。

美術館の2階には、《原爆の図》の中でも最初に描かれた《幽霊》があります。これを見ていろいろ思う事があります。
原爆投下後3日目に広島に入った丸木位里は、何かを記録しなくてはという想いを持ったのだと思います。でも、丸木位里が現地を見てから絵を描き終えるまで5年間かかります。この間に、丸木は、なぜ描くのか、何を描くのか、どう描くのか、思いを巡らしたことと想像されます。それは何だったのでしょうか。
今、60年経って、この作品を観て感じるのは、恐怖とか・怒りとか・政治的なメッセージといったものよりも、人がこんな場に居合わせなくてはいけないというトラジディーです。爆弾を作るに至った不条理、爆弾を落とすに至った不条理、爆弾の下にいる運命にあった不条理、人が戦いを続ける不条理、生き物が戦いを続ける不条理、戦いを原理とする遺伝子淘汰の不条理。そんなものを表現したいという強い意志を感じます。

このようなテーマの絵が日本画の手法で描かれたというのも、興味深く思われます。四曲一双の屏風画の形式で、墨絵の伝統を使った手法で表現されています。

《原爆の図》のある2階の部屋を、この作品郡に感性の波長をどう合わせるべきかと考えながら何巡かした後に、1階のChim→Pomのほうに廻ります。これは次のBLOGで報告します。

アルベルティの絵画論を読む

レオン・バッティスタ・アルベルティの『絵画論』、三輪福松訳、中央公論美術出版、[改訂新版]、平成23年10月10日発行、を読んでみました。
『絵画論』は1436年に書かれています。中世の絵画が新しい絵画に変わるちょうど転換期に書かれた絵画論と言えるでしょう。

本の内容の話に入る前に、アルベルティはどんな人であったかを確認してみます。アルベルティは1404年イタリアのジェノバの生まれ。フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂のファサードの設計で有名です。ルネサンス期の人らしい万能人で、人文主義者で、数学、哲学、古典学にも通じています。同時代のブルネレスキ、ドナテッロ、マザッチョと親交があり、この『絵画論』はブルネレスキに宛てられました。1472年にローマで生涯を閉じています。

『絵画論』は日本語の翻訳本で70ページ程の長さで、それほど長大なものではありません。これが3巻に分かれています。(3巻とありますが、現代の感覚でいうと3章という感じです)。

第1巻は、幾何学的な話から始まっています。点、線、面と話は展開していきます。そしてそれらを人間が認識できるのは光のためだという話になります。つまり人間は光を通して物体を見るということを言っています。そして、対象の面とそれを見る目を線でつなぐと、目が頂点になるピラミッド型ができるということになります。このように論理を展開し、遠くのものはどのように見えるか、近くのものはどのように見えるか、と続いていきます。当然この話は遠近法の話になっていきます。この辺の議論は、図や、数式を使わずに、言葉で述べられているので、理解するのがなかなか大変です。

第2巻では、絵画の力を説き、「絵の力で、他では見られないほど貴重で、豊かでその上美しいものを理解する事ができる」と言っています。また「(絵は)ささいな装飾ではない」とも言っています。
次に、絵画の要素の話になり「絵画は、輪郭、構図、採光の3つの要素で構成される」と書かれています。輪郭に関して、描かれる対象物と目の間に裁断面となるヴェールを置くようにし、対象物と目の間の視覚ピラミッドがヴェールを横切る線を結ぶと輪郭になる。構図に関して、構図とは対象の諸部分が一緒になって示される仕方のことで、小さな面が構成されて肢体になり、肢体がつながりが人体になり、主題を表現するために様々な人物の人体をうまく適切な場所に置いて絵画全体にする、これが構図でありこの調和が大事である。アルベルティはこの構図の話をするとき、歴史画を描く事を思い描いています。3番目の要素の採光に関して、重要なのは白と黒で表される明度であり、それに染料加えていく。

第3巻では、画家について語っています。画家が良い作品を作るためには、立派な人間であり、学問に通じ、善良である事が必要であり、詩人や雄弁家と交わるのが良い。さらに、画家が芸術に通暁するためには、事物を良く見て自然から学ばなければいけないと言います。
そして画家が後世に残る作品を残すためには、下絵を作る所から良く構想し、完璧さを求めて、途中で投げ出さずに完成させなくてはいけないと言っています。

というわけで、アカデミックな西洋絵画とはこういうものだと、我々が思っているものの原型がここにあります。画家像のほうはかなり真面目な常識人であるようですね。





2011年12月15日木曜日

岩合光昭・猫・写真・船橋

今日、たまたまJR総武線の船橋の駅を歩いていると、何か気になるものがありました。よく見るとそれは柱にいる猫でした。

東武百貨店船橋店6Fイベントプラザで、動物写真家岩合光昭さんの写真展が12月22日から30日の間開催されるというポスターが貼ってありました。
私はこの開催期間中に船橋にいけるかどうか分からないのが残念ですが、猫好き、写真好き、船橋近くにお住まいの方は、ぜひ行かれてみると良いと思います。

岩合光昭さんに関しては、美術手帳の2011年2月号「動物写真がすごい!」特集の中で、最初に紹介されていました。その特集では岩合さんの他に、鹿の九相図(また九相図です)を撮った宮崎学さん、ウミウシの写真家の今本淳さんなどが紹介されています。でも岩合さんの猫が最高ですね。「ネコの目線で撮る」が良い写真をとる秘訣のようで、「ネコに認められるまでネコの写真を撮り続けていきたい」と言われています。すごいですね。

今すぐに岩合さんの写真を見たいと思われたら、WEBの検索で、「三菱電機 岩合光昭」と入れてみてください。「the beauty of NATURE」というサイトに行き着きます。私はそこのライオンが気に入っています。

2011年12月14日水曜日

ブリジストン美術館、野見山曉治展

仕事の帰りに、行ってみたいと思っていた、野見山曉治展を覗いてみました。この展覧会は2011年10月28日から12月25日までブリジストン美術館で開催されています。
野見山さんは1920年の生まれで、現在90歳を超えてまだまだ大作を描かれています。

ブリジストン美術館の野見山曉治展は、年代順に、第一章「不安から覚醒へ−戦前から戦後へかけて」、第二章「形をつかむ−渡欧時代」、第三章「自然の本質を突きとめる−90年代まで」、第四章「響きあう色彩−新作をめぐって」、と展開されています。その作品は具象、キュビズム風の作品から、だんだん抽象度を高めていきます。年を重ねる毎に要素をつなぎ止める糸がだんだん減っていき、70歳を過ぎるようになると、より心の思うままの大胆な表現になっていくようです。

抽象画家でも、カンディンスキーは若い頃の奔放さがだんだん奇麗に整っていってしまったように思えますが、野見山さんは年をとるごとに奔放になっていくようです。90歳でこんな絵を描けるんだと感心してしまいます。

平日の閉館間近のブリジストン美術館は観客の姿も少なく、野見山さんの大作の前の椅子に座って、作品とゆっくり対話をする時間を持てました。こんな絵画鑑賞も良いものです。

亀がアキレスに言ったこと 予告編

2011年6月11日から8月28日に豊田氏美術館で行われた松井紫朗さんの展覧会の名前が「亀がアキレスに言ったこと 新しい世界の測定法」でした。

松井紫郎さんは、シリコンラバーを使った作品などで知られています。

今日は松井紫朗さんよりも、亀とアキレスに拘ってみました。

亀とアキレスと言えば、有限と無限にかかわるパラドックスと思われますが、実はルイス・キャロルが1895年に書いた対話編のタイトルです。

今日は会合が終わって帰ってきた後なので、内容を記述するだけの気力がありません。申し訳ないですが問題提起だけにさせてください。亀がアキレスに言ったこととは、さあ、なんなんでしょう。

2011年12月12日月曜日

津波と美術館

3月11日の東日本大震災では、岡倉天心が1905年に茨城県五浦に建てた六角堂が流失してしまいました。

神奈川県には神奈川県立近代美術館葉山館など、海に近い所に美術館があるので、大丈夫かなと思い調べてみました。

神奈川県は津波浸水予想図の素案をウェブ・サイトで公表しています。そこには、明応型地震、慶長型地震、元禄型関東地震と神縄・国府津-松田断層の連動地震、を想定した浸水マップがあります。

明応地震は1498年に発生した房総から紀伊にかけて大きな震度を記録した地震で、鎌倉大仏まで津波がきたという地震です。(大仏殿自体はこの前には既になかったという記録もありますから、これで大仏殿が破壊されたとは言えないようです)
慶長地震は1605年に発生した地震で、揺れはそれほど大きくなくても、津波が発生するタイプの地震です。
元禄地震は1703年に発生した地震で、房総半島から伊豆半島にかけて大きな揺れがあり、鎌倉では8mの津波が発生し、鎌倉の二の鳥居まで浸水したという記録が残っています。

その浸水マップで見る限り、神奈川県立近代美術館葉山館は、すこし高い所にあるので、とりあえずは津波被害からは免れそうですね。

もう少し調べていると、神奈川県を中心に展開している本屋さんの有隣堂が出している出版物「有隣」平成15年10月10日号に、神奈川県立近代美術館葉山館誕生(1)という記事がありました。その記事の中で、当時の神奈川県立近代美術館館長の酒井忠康さんが、関東大震災の時の津波が6、7mであったので、この美術館は1階が10mの条件で作ったという話をされているのが、載っていました。

想定外の災害であっても大丈夫なように、美術館の作品を守るための対策は十分考えていただきたいですね。

左の写真は神奈川県立近代美術館葉山館の「レストランオランジュ・ブルー」です。
写真には写っていませんが、左の下が海、右側が美術館になります。

2011年12月11日日曜日

番外編 月蝕

アートとは関係ありませんが、手近にあったカメラで月蝕を撮ってみました。
三脚も使っていないので、できばえのことは言えませんが、ただの記録です。

2011年12月10日、夜の10時50分くらいから11時30分くらいの間。






週末のアート探し6 同級生の展覧会

小学生の時の同窓生が、展覧会を行っているという事で、案内状をいただいたので見に行きました。
エポカザショップ銀座地下一階(中央区銀座5−5−13)、濱口恵、「冬の光」。
濱口さんは、メタルを使った作品を作っています。
天井からつるしたメタルの線材の作品、メタルで作ったオブジェ、アクセサリーとしても使える小作品など。良い感じです。

週末のアート探し5 コビケンと高橋コレクション

ゆりかもめ「日の出」駅のちかくにある、TABLOIDギャラリーで、「コビケンは生きている −高橋コレクションより−」が2011年12月3日から12月28日の間開催されています。

展覧会のタイトルにもあるように、この展覧会の縦糸は「コビケン」で横糸は「高橋コレクション」です。

コビケンとは東京藝術大学のカリキュラムで古美術研究旅行のことです。
どうも現代活動している作家はこのコビケンに影響されているところが多いようだということで、現在活動している作家にコビケンの思い出を語ってもらい、また再び今あらためて京都、奈良などに旅をして語ってもらおうというという企画をしたのが、雑誌BRUTUSです。2011年11月1日発行のBRUTUSでは「京都・奈良・滋賀・大阪、必修古美術研究旅行」という特集を組んでおり、そこでは、千住博、小谷元彦、山口晃、会田誠、鴻池朋子、ひびのこづえ、といった作家が旅をして古美術を紹介しています。

高橋コレクションは、タカハシクリニックという病院の経営を行う高橋龍太郎さんのコレクションで、日本の現代作家の作品を中心に1000点以上の作品が集められています。
奈良美智、村上隆、会田誠、山口晃、小谷元彦、束芋、鴻池朋子、名和晃平、三沢厚彦、などの作品がコレクションされています。

今回の展覧会はこの2つの切り口を組み合わせたもので、主催は高橋コレクション、協力はBRUTUS編集部、キュレーションは美術ジャーナリストの鈴木芳雄です。
高橋コレクションを使って、現代活躍している作家の、古美術にインスパイアされた作品を見ようと言うものです。

作品展数は13点なのですが、どれもこれも目が離せないような作品です。一部を紹介すると、

  • 小谷元彦《SP4 the specter-Arabesque woman with a heart》。FRP製の女性像で、橋本平八の《花園に遊ぶ天女》を意識しているということですが、手に心臓を持ったこの像が表している感性の中心部分は密教の仏像に繋がっていそうです。
  • 鴻池朋子《無題》。巨大な髑髏が中心にある襖絵。襖をあけると髑髏が左右に分かれるかたちになる。障壁画というフォーマットがインパクトを強めています。
  • 会田誠《美しい旗》。二曲一双の屏風絵。内容は左隻には日本の少女が戦場と思われる場で日の丸の旗を振っている姿。右隻にはチマチョゴリの少女が韓国の旗を振っている姿。二曲一双は風神雷神図につながると解説にありましたが、それだけでないザワメキを感じる作品。
  • 山口晃《九相圖》。これは小野小町が死んで腐乱していくところを描き、生の無常を表現したという、九相図をもじった作品。頭が馬で胴体がバイクの不思議な乗り物が、死んで?、変化していく様子を示している。
現代の、尖った作品も、日本の美術の伝統とつながりを持っている事がわかります。

男の子の雑誌のようなイメージがあるBRUTUSですが、コビケン特集は見ても良いかもしれませんね。
高橋コレクションの方は、「ネオタニー・ジャパン − 高橋コレクション」の図録を見てから興味を持っていました。




週末のアート探し4 斎藤清、日本の田舎

新宿小田急百貨店10Fアートサロンで、12月7日から12月13日まで「斎藤清展」が行われています。斎藤清さんは、1907年生まれ1997年没の、木版画家です。
特に今回展示されていた作品は、こういう風景が日本にはあったんだろうなと思わせる、古い農家があったり、柿の実がなっていたり、家が雪で覆われているような作品です。

私が面白いと思ったのは、たくさん展示されていた懐かしさを強調したような作品ではなく、熟れた柿の実が画面いっぱいに広がっている作品や、屋根の上の重くのしかかった雪の下にお店の暖簾がのぞいているような、構図の面白い作品でした。

百貨店の展示で、作品には値札が付いていたので、ついつい、こういうどこかで見た日本みないな絵は売れるんだろうな、などと思いながら会場を出てきました。

2011年12月10日土曜日

週末のアート探し3 神戸智行、自然なもの

2011年11月15日から12月18日、信濃町と千駄ヶ谷の間にある、小さな美術館「佐藤美術館」(新宿区大京町31−10)で、「イノセントワールド 神戸智行展」が行われています。

神戸智行さんは多摩美術大学で日本画を学ばれた方で、佐藤美術館を運営している公益財団法人佐藤国際文化育英財団の奨学生であった方です。
作品は自然にたいするこだわりがあります。例えば《幸福ノカタチ》では、縦1.5m、横8mの大きな画面にたくさんのクローバーがちりばめられており、よく見ると影に虫やトカゲがいます。自然のなかにいて気持ちいいなあという感慨がわいてきます。
福岡の太宰府天満宮のために描いた、四曲一双の屏風では、木に咲く花という屏風絵の伝統が、現代に生きています。
おすすめです。行ってみてください。

この展覧会と会わせて、銀座7丁目のギャラリー広田美術(中央区銀座7−3−15ぜん屋ビル1F)でも、神戸智行さんの作品が、12月2日から18日の間、展示されていますので、こちらにも行ってきました。
こちらはギャラリーなので小品中心なのですが、植物の間にトンボや小さなカエルがいる作品とか、金魚の作品、虫はいなくても虫が喰った葉に生命を感じる作品など、素晴らしい作品が展示してあります。
こちらには、神戸智行さん本人がいらっしゃいました。《幸福ノカタチ》のクローバーの中に1つだけ四葉のクローバーがあるというような話も伺えて、たいへん良い雰囲気でした。
展示の様子は、ギャラリー広田美術のホームページで見られます。

週末のアート探し2 ウフィツイ・ヴァーチャル・ミュージアム

2011年11月22日から12月8日まえ、イタリア文化会館エキジビションホールで、「ウフィツィ・ヴァーチャル・ミュージアム」展が行われています。これはウフィツィ美術館の作品を高画質・高精細でデジタル化し、実物大で展示するというものです。また画面に触ってiPhoneのように自由に拡大してみるという展示もあります。

主催は、イタリア大使館、イタリア文化会館、イタリア文化財・文化活動省、フィレンツェ美術館特別監督局、フィレンツェ大学MICC、伊日財団です。
技術的には日立も協力しているようです。

実物大になった作品は、ボッティチェリの《プリマヴェーラ》《ヴィーナスの誕生》、レオナルド・ダ・ヴィンチの《受胎告知》、ラファエロの《ヒワの聖母》、ミケランジェロの《ドント・ドーニ》、ティッチアーノの《ウルビーノのヴィーナス》、カラバッジョの《バッカス》などの名画です。

確かに高精度で、画集で見るのとは次元が違っています。《プリマヴェーラ》の右側のゼフィロスの所にある木に光が当たっている所は、金色の斜め線で表現されていたんだとか、良くわかります。
でも本物に近くなればなるだけ、本物ではないんだと言う思いが強くなるのは、しかたがないですね。見終わっての感想はフィレンツェに行かなくっちゃというものでした。
これはイタリアの皆さんの思うつぼかな。

左の写真は、九段にあるイタリア文化会館です。
正面の色が派手なので景観上の問題があるのではないかと話題になった事がありましたね。

週末のアート探し1 ロートレック

今週末はバリエーションにとんだアートを探してみることにしました。

2011年12月9日(金)夜、三菱一号館美術館で10月13日から12月25日に行われている、「トゥールーズ=ロートレック展」を見に行きました。
この展覧会は、所蔵品で展覧会を行うという、展覧会の王道になっています。三菱一号館美術館の所蔵品の他には、フランスのアルビにあるトゥールーズ=ロートレック美術館の作品が多く展示されています。


なぜ、三菱一号館美術館がロートレックを所蔵しているかというと、ロートレックの友人でもあり画商であったモーリス・ジョワイヤンが持っていたロートレックのリトグラフなどのグラフィック作品のコレクションを、三菱一号館が入手したためです。今、250点ほどの作品があるということです。

内容的には、ムーラン・ルージュなど当時の新しい大人の娯楽施設のための宣伝用ポスターが見応えがありました。浮世絵に影響されたという大胆な構図、大胆な色彩、モデルの個性を感じさせる人物表現など、引きつけられます。女性の顔などはなんでここまで変に描くのという感じです。となりに並んで展示されているモデル本人の写真はいい女なのに。でもそこに本人の個性が滲み出しています。

美術の王道からすると、リトグラフという版画作品であり、しかも目的は商業美術ということで、亜流なのでしょうが、19世紀末をこれだけ表現しているのは素晴らしいですね。ロートレックの後は、ハイ・アートと商業美術は交わる事が無くなってしまうようです。

写真は、三菱一号館美術館から見た、下の広場のクリスマスの飾り付けです。

2011年12月9日金曜日

大阪市立近代美術館

大阪市長に当選した橋下徹さんが、大阪市立近代美術館設立を白紙に戻すといっているというニュースが流れました。これに関して少し調べてみました。


  • 1983年に大阪市制100周年の一環として近代美術館が構想され、翌1984年に近代美術館構想委員会が発足。
  • その後紆余曲折があるも現在にいたるまで未完成。
  • すでに153億円の美術品を購入し、4千4百点を超える作品を持っている。
  • 建築予定地は中之島の国立国際美術館の近く。
  • すでにコレクションされている作品の一端。
    • 佐伯祐三の《郵便配達夫》
    • モディリアーニ《髪をほどいた横たわる裸婦》
    • マリー・ローランサン《プリンセス達》
    • など
いったいこれは何だったんでしょうか。
バブル崩壊など経済の混乱、また政治の混乱のなかで、どうしようもなくなっているようですが、大変残念な事です。少なくとも作品が死蔵されてしまうことだけは避けて欲しいものです。

どんな偶然なのか、国立国際近代美術館では今年2011年10月4日から12月11まで、大阪近代美術館建設準備室が持っている作品を含めて『中之島コレクションズ 大阪市立近代美術館&国立国際美術館』を開催しています。




2011年12月8日木曜日

iPadでゴヤ展

国立西洋美術館で2011年10月22日から2012年1月29日まで「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」が開催されています。11月18日には来場者も10万人を超えたということで関心も高いようです。

私もぜひ行かなくてはと思い、国立西洋美術館のWEBを見ていた所、公式アプリeガイドブックというのを見つけました。これは読売新聞社が作った電子ブックで、カタログを元にして作ってあり、Apple iPadやAndroidタブレットで展覧会のガイドブックを見られるというものです。iPadの場合にはApp Storeで「goya2011 e-guidebook」と検索すると出てきて、800円で購入できます。ちょっと高いかなと思いながらダウンロードしてしまいました。

内容は、展覧会の章立てにそって主要な作品と解説がのっている部分がメインで、その他に、展覧会出品リスト、展示室のマップ、展示室のなかでぐるりと周りを見回した影像、ゴヤ略年譜、プラド美術館紹介が載っています。

まだ全部見ていませんが、画像もきれいで、展覧会に行く前に事前に情報を入手するのに最適なツールのようです。

これを見てから、今度の日曜日にでも上野に行ってみよう。

2011年12月7日水曜日

中山王陵の虎、長谷川等伯の虎

大型ネコ科好きにはたまらないのが虎の図像ですね。
最近、三匹の虎に会ったので、少し紹介します。


一匹目は東洋美術を勉強していて出てきた中山国の虎。中山国は中国で紀元前414年に現在の河北省に建国され紀元前296年に滅んだ白狄の国。1970年代から1980年代にかけて大きな王陵が発掘されました。ここにいるのは、そこから発掘された虎。右手で獲物を押さえて食しながら歩いている様子で、体は右向きにねじるようにしています。肩とお尻の上に円筒形のものが見えますが、ここに屏風をたて、ちょうど屏風の折れ曲がる所が虎の背中の上にくるようになっていたということです。目力が強い虎の顔、力が漲った手足、しなやかな胴体、まるまった尻尾、良いですね。

他の二匹は、2011年10月29年から12月18日にかけて、出光美術館で行っている「長谷川等伯と狩野派」展にいました。長谷川等伯の《竹虎図屏風》の右隻と左隻に、それぞれ一匹づついます。これは出光美術館のホームページにも載っていますので観てください。右の虎は虎らしい姿で身を低くして何かを狙っている図、左の虎は猫のように座って右の足で首を掻いている図。私が気に入ったのは右のとらの柔らかそうな毛で覆われた尻尾。筆でこんな表現ができるのはすばらしい。写真では判らないのでぜひ現物を観てください。

今日は、最近出会った、三匹の虎の話でした。

【Powered by Lion : こっちは私のネコ科のMAC OSの話です】


2011年12月6日火曜日

時をアートに

河原温は、1966年1月4日からその日の日付だけを描く《日付絵画》を作り続けています。時の経過自体がアートになっています。

ところで、視野をずっと広げてみると、
宇宙の始まりのビッグバンは137億年前。
地球の誕生は46億年前。
生命の誕生は40億年前。
生命が爆発的に多様化したカンブリア紀は5億4000万年前。
人類の誕生が500万年前。
ショーヴェ洞窟壁画が3万年前。
そして現在。
今後は、63億年後に太陽は膨張を始め赤色巨星になり、その時地球は太陽に飲み込まれないが、灼熱状態になり生物が生存できるような環境ではなくなる。
という事のようです。

だからどうという事は無いのですが。ふーんという感じですね。

ちなみに仏教では、弥勒は仏陀の入滅後56億7000万年後に姿を現し人々を救済する事になっているようです。

2011年12月5日月曜日

「なぜ?」に疲れたら癒し系

昨日「なぜ?」「なぜ?」で美しくなるという話をしましたが、でも時によってはあ〜疲れたなという時も正直な話あります。その時、あまり「癒し系」などというありきたりなタグを付けたくはないのですが、でもそういうものを求めてしまう事もあります。

そこで、いまお気に入りの癒し系は、イケムラレイコさんです。
東京国立博物館で、2011年8月23日から10月23日まで、「イケムラレイコ うつりゆくもの」という展覧会が行われたので観ている方もいらっしゃると思います。
たぶん、イケムラレイコさんを癒し系などと言ってしまうと、違うと言われそうです。ただ奇麗、可愛いではありません。引っかかってしまう「なぜ?」「なぜ?」も沢山あります、でもそこには「なぜ?」よりも、自然さ、昔どこかで会ったような感じがあります。

イケムラレイコさんは、1972年にスペインに行かれて、セビーリャ美術大学で学ばれ、その後、ベルン、ニュルンベルグに行かれて、現在はベルリンとケルンで活躍されベルリン芸術大学の教授を務められています。

「イケムラレイコ うつりゆくもの」展で見つけたものは、
油彩なのに薄塗で色の移り変わりのグラデーションが素晴らしい作品。
中が空ろになっている(頭が無いものもあります)女の子がなぜか下を向いて転がっている作品、これは言葉で書くような不気味さではなく、切なさ愛おしさのようなものを感じます。

東京近代博物館のWEBサイトに、「イケムラレイコ Side B」がありますから、ぜひ検索して行ってみてください。

ミュージアム・ショップで、イケムラレイコさんの作品を森本美絵さんが写真に撮った『うみのこ』を買ってしまいました。

ところで、今日の話題と変わりますが、この前の土曜日にギャラリー巡りをしていた時に、トイレの壁がコンビニ弁当の絵に取り囲まれているというシュールな空間を作っている、青山のトキ・アートスペースの方から、古い人はブニュエルを知ってますよねと言われて、そうだこれはルイス・ブニュエルだと思ったのですが、さてブニュエルのどの作品だったのか思い出さなかったのです。帰って調べたら、それは1974年のブニュエルの作品、「自由の幻想」でした。これはブニュエルが74歳の時の作品ですが、たいへんウィットにとんでいる作品です。その中で、食事は隠れて採るが、排泄は恥ずかしげも無く皆の前で揃って行うという場面が出てきます。青山のギャラリーとスペインの映画監督がつながっていました。

2011年12月4日日曜日

「なぜ」と問うたび美しくなる

何回か前に、東京都現代美術館のチーフキュレータの長谷川祐子さんが、NHK出版新書から2011年11月10日に出版された、『「なぜ?」から始める現代アート』に関して、何か書いてみたいと書きましたので、今日はそれを行ってみたいと思います。

最後まで読んで、最後に戻ってきたのが、はじめにの第一行目に書いてある、「私たちは「なぜ?」とか「これは何?」と問うたびに深く美しくなる生き物です。」という一文です。長谷川祐子さんはこの本の中で、色々な作家や、いろいろな「なぜ」に関して書かれています。それらはすべてこの最初の文につながっているように思います。

現代美術にかかわる人々は普通の美術館にくる人々から「現代美術は判らない印象派までなら判るのに」と言われ続け、その反論として「判らない事が良くはありませんか」と言うことがこの言葉になっているのかもしれません。でも、この中には単に反論でなく真実があるように思われます。少なくとも私の場合には。この「なぜ」がアートを見続ける原動力になっています。

なぜ、松井紫郎は、ぐにゃぐにゃなシリコンラバーを使った作品を作っているのだろうか。
なぜ、ホンマタカシは、林の雪の上に血かペンキかわからない赤いものがたれた写真をとっているのだろうか。
なぜ、束芋は、古い日本の台所の3次元空間を2次元の影像にしているのだろうか。
なぜ、高嶺格は、パレスチナ人問題を語る女性の影像を作っているのだろうか。
なぜ、名和晃平は、剥製のうえにレンズのように見える球体をはりつけた作品を作っているのだろうか。
またまた、阿弥陀のような本来は抽象的な概念を、なぜ擬人化して表現しているのだろうか、また、その擬人化の工夫にはどのようなものがあるのだろうか。

ここに挙げたのは、今年私が観て興味を持ったものの一部ですが、みんな「なぜ」ですね。

視覚表現のアートには、とくにこの「なぜ」を喚起する力があるように感じます。
他の芸術との比較で言うと、文学は、言葉で表現するために、「なぜ」の定義をしたり、「なぜ」を解いたりする方向に向かってしまい、「なぜ」を読者に投げかける力は美術に及ばないのではないでしょうか。また、音楽を聴いて、「なぜ」とはあまり思わないですね。

というわけで、アートを通じて「なぜ」をたくさん見つけたいですね。
長谷川祐子さんが、著作のなかであげているアーティストに関しても、観る機会を作りたいと思っています。

2011年12月3日土曜日

ギャラリー巡り

今年になってから、アート・ギャラリーに興味を持つ人が集まって、ギャラリー巡りをしています。

そこで今年行った所を振り返ってみます。

2011年2月5日
  • 小山登美夫ギャラリー
    • 〒135-0024 東京都江東区清澄1-3-2-7F (丸八倉庫ビル)
    • http://www.tomiokoyamagallery.com/
  • ヒロミヨシイ
    • 〒135-0024 東京都江東区清澄1-3-2 6F (丸八倉庫ビル)
    • http://www.kalons.net/index.php?option=com_content&view=article&id=79&lang=ja
  • KIDO PRESS
    • 〒135-0024 東京都江東区清澄1-3-2 6F (丸八倉庫ビル)
    • http://www.kidopress.com/
  • ショウゴアーツ
    • 〒135-0024 東京都江東区清澄 1-3-2, 5F (丸八倉庫ビル)
    • http://shugoarts.com/
  •  無人島プロダクション
    • 135-0022 東京都江東区三好2-12-6 渡邊ビル1F
    • http://www.mujin-to.com/
  • 資生堂ギャラリー
    • 104-0061 東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
    • http://www.shiseido.co.jp/gallery/
  • メゾンエルメス
    • 〒104-0061 東京都中央区銀座 5-4-1
    • http://www.art-it.asia/fpage/?OP=hermes
  • ポーラミュージアム・アネックス
    • 〒104-0061 東京都中央区銀座 1-7-7 ポーラ銀座ビル 3階
    • http://www.pola.co.jp/m-annex/
  • ギャラリー小柳
    • 〒104-0061 東京都中央区銀座 1-7-5 小柳ビル8階
    • http://www.gallerykoyanagi.com/
  • というわけで、盛りだくさんのスケジュールでした。清澄の倉庫ビルのエレベータは倉庫仕様ですから、ちょっと戸惑うかもしれません。

2011年3月5日

  • MISASHIN GALLERY
    • 東京都港区白金 1-2-7
    • http://www.misashin.com/
  • 山本現代
    • 東京都港区白金 3-1-1 3F
    • http://www.yamamotogendai.org/
  • 児玉画廊
    • 東京都港区白金3-1-15
    • http://www.kodamagallery.com/index_jpn.html
  • NANZUKA UNDERGROUND
    • 東京都港区白金 3-1-15 SHIROKANE ART COMPLEX 2F
    • http://nug.jp/
  • LONDON GALLERY
    • 東京都港区白金3-1-15
    • http://www.londongallery.co.jp
  • Take Ninagawa
    • 東京都港区東麻布 2-12-4 信栄ビル1F
    • http://www.takeninagawa.com
  • YOKOI FINE ART
    • 東京都港区東麻布 1-4-3 木内第二ビル 6F
    • http://www.yokoifineart.jp/
  • LOUVRE DNP MUSEUM LAB
    • 東京都品川区西五反田 3-5-20 DNP五反田ビル1F
    • http://museumlab.jp
  •  アート・コンプレクスの中の密度はかなり高いです。LONDON GALLERYは古美術。DNPはギャラリーではありませんが、面白いアートイベントを行っています、予約は必要です。
2011年4月2日
  • Yuka Sasahara Gallery
    • 東京都千代田区神田岩本町 4
    • http://www.yukasasaharagallery.com/
  • Fabre8710  (この時はまだ開業前の準備中でしたが、中を見せてもらいました)
    • 101-0042 東京都千代田区神田東松下町19 興亜第1ビルB1・B2F
    • http://www.fabre8710.com/
  • GALLERY TERRA TOKYO
    • 東京都千代田区岩本町 2-6-12 曙ビル 1F
    • http://www.galleryterratokyo.jp/
  • ギャラリー・ハシモト
    • 東京都中央区東日本橋 3-5-5 矢部ビル 1F SPACE355
    • http://www.space355.jp
  • Maki Fine Arts
    • 東京都中央区日本橋大伝馬町 15-3 内田ビル 1F
    • http://www.makifinearts.com/
  • gallery αM  (武蔵野美術大学が運営)
    • 東京都千代田区東神田 1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F
    • http://www.musabi.ac.jp/gallery/
  • CASHI
    • 東京都中央区馬喰町 2-5-18 1F
    • http://cashi.jp
  • TARO NASU
    • 東京都千代田区東神田 1-2-11
    • http://taronasugallery.com
  • 3月11日の大震災の後で、Yuka Sasahara Galleryでは作品が倒れていました。
2011年5月14日
  • 新宿アイランド(オフィスビルの周辺にあるパブリック・アート)
    • 〒163-1312 東京都新宿区西新宿6-5-1
    • http://www.shinjuku-i-land.com/public_art.html
  • 東京都庁(パブリック・アート)
    • 〒163-8001東京都新宿区西新宿2-8-1
    • http://www.yokoso.metro.tokyo.jp/p-art/artwork.htm
  • 新宿三井ビル1F エプソン・ショールーム
    • 東京都新宿区西新宿 2-1-1
    • http://www.epson.jp/epsite/
  • YUMIKO CHIBA ASSOCIATES
    • 東京都新宿区西新宿 4-32-6 パークグレース新宿#206
    • http://www.ycassociates.co.jp
  • ケンジタキギャラリー
    • 東京都新宿区西新宿 3-18-2-102
    • http://www.kenjitaki.com/
  • 東京オペラシティアートギャラリー
    • 東京都新宿区西新宿 3-20-2
    • http://www.operacity.jp/ag/
  • 今回は、パブリック・アートをたくさん観ました。またマンションの中の行きにくい場所もありました。
2011年6月4日
  • エモン・フォトギャラリー
    • 東京都港区南麻布5-11-12 togoBldg B1
    • http://www.emoninc.com/
  • 1223現代絵画
    • 東京都渋谷区広尾5-19-4 SR広尾B1
    • http://www.gendaikaiga.com
  • TOKIO OUT of PLACE
    • 東京都南麻布4-14-2 麻布大野ビル 3F
    • http://www.outofplace.jp
  • MA2 Gallery
    • 東京都渋谷区恵比寿 3-3-8
    • http://www.ma2gallery.com
  • NADiff
    • 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1丁目18-4 1F
    • http://www.nadiff.com/home.html
  • waiting room
    • 東京都渋谷区恵比寿西 2-8-11 渋谷百貨ビル 4B
    • http://www.waitingroom.jp/index.html
  • 1223現代絵画にあった、三輪美津子さんの、粘土で作ったものを絵に描いた作品が、面白かったですね。
2011年7月2日
  • 3331(オルタナティブ・スペース)
    • 〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14
    • http://www.3331.jp/
  • 3331内 sagacho archives
    • http://www.sagacho.jp/ja/
  • 3331内 bambinart gallery
    • http://www.bambinart.jp/gallery/index.html
  • 3331内 アキバタマビ21
    • http://akibatamabi21.com/
  • 3331内 Gallery Jin
    • http://www.galleryjin.com/
  • galerla de muerte
    • 東京都台東区東上野 3-32-1 3F
    • http://galeriademuerte.com/
  • SCAI THE BATHHOUSE
    • 〒110-0001 東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡
    • http://www.scaithebathhouse.com/
  • 今回は千代田区が運営しているオルタナティブ・スペース3331が目玉。中身は良くも悪くも色々。
2011年7月30日
  • 東京アートフェアに行きました
  • その後、「画廊からの発言、新生代への視点2011」へ
(もしかしたら飛ばした所が入っているかもしれませんが)
  • なびす画廊
    • 104-0061 東京都中央区銀座 1-5-2 ギンザファーストビル3F
  • 藍画廊
    • 104-0061 東京都中央区銀座 1-5-2 西野ビル2F
  • ギャラリー東京ユマニテ
    • 104-0061 東京都中央区京橋 2-8-18 昭和ビルB1F
  • ギャラリイ K
    • 104-0061 東京都中央区京橋 3-9-7 京橋ポイントビル4F
  • ギャラリー Q
    • 104-0061 東京都中央区銀座 1-4-12 楠本第17ビル3F
  • ギャラリー 現
    • 104-0061 東京都中央区銀座 1-10-19 銀座一ビル 3F
  • コバヤシ画廊
    • 104-0061 東京都中央区銀座 3-8-12 ヤマトビルB1F
  • ギャラリーなつか
    • 104-0061 東京都中央区銀座 5-8-17 GINZA PLAZA58 8F
  • ギャラリー58
    • 104-0061 東京都中央区銀座 4-4-13 琉映ビル4F 
  • 今回はアートフェアだけでなく、銀座近辺を廻りました。
7月末にギャラリー巡りを開催したので、8月は休み。
9月、10月は私の都合で欠席となってしまいました。

2011年11月12日
  • 不忍画廊
    • 東京都中央区八重洲1-5-3
    • http://www.shinobazu.com/top/index.htm
  • 日本橋高島屋 美術画廊X
    • 東京都中央区日本橋2-4
    • http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/floor/f06.html http://blog-tokyo.takashimaya.co.jp/art/
  • ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー
    • 東京都中央区日本橋3-2-9
    • http://www.g-sho.com/
  • ユマニテ+坂巻
    • 東京都中央区京橋2-8-18
    • http://g-tokyohumanite.jp/
  • nca
    • 東京都中央区八丁堀4-3-3
    • http://www.nca-g.com/
  • arataniurano
    • 東京都中央区新富2-2-5
    • http://www.arataniurano.com/
  • takurosomeyacontemporaryart
    • 東京都中央区築地1-5-11
  • デパートの中にも面白い現代アートの画廊がありますね。ncaは日動画廊の現代アート部門という位置づけです。
2011年12月3日
  • 「neuton tokyo」 3階建ての個人宅をギャラリーに改造、明るい雰囲気の気持ちよいギャラリー。
    • 東京都港区南青山2-17-14
    • http://www.neutron-tokyo.com/
  • 「ときの忘れ物」 年末セールを行っていました、オーナーの方に説明をしていただきました、版画作品がたくさんあります。ギャラリーの椅子やテーブルにもこだわりがありました。
    • 東京都港区南青山3-3-3
    • http://www.tokinowasuremono.com/
  • 「トキアートスペース」 "ほりけいし"さんの作家の母親の写真をベースにさらに写真のテクニックで作った作品を展示。ギャラリーの方は何かひっかかるところのある作品を展示すると言われていました。トイレに入ると、コンビニ弁当を描いた絵画作品に取り囲まれます。
    • 東京都渋谷区神宮前3-42-5
    • http://homepage2.nifty.com/tokiart/
  • 「hpgrp tokyo」 フャッションブランドがギャラリーを開いています。ブロンズを作成する時の湯道にたまった金属を使った伊藤一洋さんの作品を展示。ブロンズは5000年保つそうです。
    • 東京都渋谷区神宮前5-1-15
    • http://www.artdiv-hpf.com/tokyo/
  • 「TWS青山」 東京ワンダー・サイト青山では"クリエイター・イン・レジデンス"を行っています。ベトナムなどから来ているアーチストに活動内容を説明していただきました。ここでどんな事が行われているのかもっと知りたいですね。
    • 東京都渋谷区神宮前5-53-67 
    • http://www.tokyo-ws.org/aoyama/
  • 「spiral」 は槇文彦のポストモダンの建築。内部には大きなスパイラル上のアート展示スペースがあります。ホール裏の階段には荒木経惟の作品が隠されていました。ビルから外に飛び出すように宮脇愛子さんのメタルワークの作品があります。
    • 東京都南青山5-6-23
    • http://www.spiral.co.jp/c_profile/pdf/company_info.pdf
  • 「void+」 小さな展示室が2つあるギャラリー。作家の内海聖史さんがいらして、作品の趣旨を丁寧に説明していただきました。展示する部屋にあった作品を作る事を強調されていました。色がきれいな作品で気に入りました。大きな作品なので買えないですけど・・・・。ギャラリー訪問の醍醐味は作者に会える機会があることですね。 
    •  東京都港区南青山3-16-14
    • http://www.voidplus.jp/
というわけで、今年のギャラリー巡りは終わりです。多くのギャラリーへ行ったので、どんどん忘れていくのを防ぐために、一年分をまとめてみました。

     

2011年12月1日木曜日

静岡市美術館とレオナルド・ダ・ヴィンチ その2

静岡市美術館で、「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」展が、2011/11/3から12/25まで行われています。日本で、今、予算規模も小さいだろう美術館で、レオナルド・ダ・ヴィンチ?と疑問符を持ちながら、見に行きました。

この企画展は、静岡市美術館をはじめに、福岡市美術館、東京のBunkamuraザ・ミュージアムと巡回します。毎日新聞社が毎日新聞創刊140年記念事業として企画したもののようです。

当然のことと思いますが、レオナルド・ダ・ヴィンチの有名な油絵の作品が並んでいるわけも無く、レオナルド・ダ・ヴィンチの小さなデッサンや、レオナルド・ダ・ヴィンチの工房の作品、レオナルド派などのレオナルドに影響を受けた周辺の画家の作品の展示ということになります。

その中で、気に入ったのは、

  • ダ・ヴィンチの本当に小さな4cm X 4cm くらいしかないと思われる、《老人の頭部》。これは近くによって、よく見ると老いたさまが凄まじい。
  • ダ・ヴィンチの弟子のジャンピエトリーノの《マグダラのマリア》、これはルネッサンスというよりもバロック的に明暗がはっきりしたなかに、豊かな体と長く艶のある髪をもったマグダラのマリアが夢見るようにしているというもの。
あとは、ルーブルの《岩窟の聖母》と、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの《岩窟の聖母》の間に、ダ・ヴィンチ工房で作られたという《岩窟の聖母》。これは本当にどれだけダ・ヴィンチが関与した者なのでしょうね、と疑問符がつきました。

その先に進むと、ダ・ヴィンチの後の画家たちによる《モナリザ》を模写した作品が、展示室いっぱいになっていました。これには少しうんざりでしたね。

というわけで、少し疲れてミュージアム・カフェのコーヒーへ。

静岡市美術館とレオナルド・ダ・ヴィンチ


出張が早く終わったので、半日休暇にして、静岡市美術館に行ってみました。

静岡市美術館は静岡駅から徒歩5分という行きやすい環境。こんなに駅に近い美術館は他に知りません。左の写真のビルの3階にあります。エスカレータの上に静岡市美術館と書いてあるのがわかりますか。

それでは美術館を紹介。

開館は2010年5月1日。できたばかりの美術館です。ビルの中でも国宝の展示も可ということです。財団法人静岡市文化振興財団が指定管理者となっています。

基本方針は次のように書いてありました。

しずおかの歴史や風土、伝統文化を継承しながら、あたらしい「しずおか文化」を創造し、世界に向けて発信します。


美術を主軸にデザインや工芸等、幅広いジャンルの展覧会をバランスよく実施します。


街にひらかれた「芸術文化の交流拠点」を目指します。


子供からお年寄りまで。みんなが集う、”いきいきした美術館”を目指します。


というわけで良くわかりません。何でもありということでしょうか。

過去の企画展を見ると
「ポーラ美術館コレクション展 印象派とエコール・ド・パリ」(2010/10/2-11/28)
「家康と慶喜−徳川家と静岡」展(2010/12/11-2011/1/30)
「棟方志功 祈りと旅」展(2011/2/11-3/27)
「ハンス・コパー展 20世紀陶芸の革新」(2011/4/29-6/26)
「没後150年 歌川国芳展」(2011/7/9-8/21)
「アルプスの画家 セガンティーニ -光と山- 展」(2011/9/3-10/23)

これを見ても特定の領域にフォーカスせずになんでもありですね。

エントランスや、ミューシアムショップ、ミュージアム・カフェは明るくオープンな雰囲気で気持ちよい空間になっていました。めんどうな事はいわず、市民が楽しく集まってくれれば良いというコンセプトのようです。

そこで、今開催している企画展が「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」展です。
今の日本の美術館で「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の企画展、どうなになっているのか興味がわきますね。

この後は次に続きます。