松濤美術館は渋谷区の美術館で、財団法人渋谷区美術振興財団が運営しています。ここは何と言っても白井晟一さんが作った建物が眼を引きます。外側は石造りですが微妙なカーブを描いています、窓が無いためその形態の存在感を強く感じさせます。建物の中は、ドーナツのように屋上から地下二階まで空いた空間になっていて、そこに向かった窓がついています。その中空の一階部分には橋が渡されています(右の写真)。
今回の展覧会のほうは、1900年から1940年に渋谷周辺に住んでいた芸術家の作品を集めた展覧会になっています。少し前に板橋区立美術館で行われていた池袋モンパルナス展に似た趣向です。ただ池袋モンパルナスのほうは芸術家が自らそう名乗っていたわけですが、渋谷のほうはとくに渋谷で何かを一緒に行おうというわけでは無かったようです。展示の内容も渋谷関係という以外では一つの方向を向いているわけではなく、色々な傾向の作品が展示されています。そういう理由からか、個々の作品はおもしろくても、展覧会としてのまとまりはどうかなという印象でした。
以下、展示されている作家です。
- 菱田春草(1874-1911)、いうまでもなく明治時代の日本画家、日本美術院創設に参加。
- 岡田三郎助(1869-1939)、洋画家、フランスでラファエル・コランに師事、東京美術学校教授
- 有馬さとえ(1893-1978)、女性画家の先駆者
- 杉浦非水(1876-1965)、グラフィックデザイナー、三越のポスターなどを制作
- 伊東深水(1898-1972)、日本画家、美人画で有名
- 辻永【つじひさし】(1884-1974)、洋画家、花の写生画集を作る
- 岸田劉生(1891-1929)、洋画家、《道路と土手と塀》は東京国立近代美術館に
- 村山槐多(1896-1919)、洋画家、夭折の画家、人物画に特徴
- 竹久夢二(1884-1934)、大正浪漫を代表する画家
- 富永太郎(1901-1925)、夭折の詩人画家
- 児島善三郎(1893-1962)、日本のフォーヴィスム
- 平塚運一(1895-1997)、版画家
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