2012年1月17日火曜日

村上隆さんインタビュー記事

2012年1月17日、朝日新聞朝刊に村上隆さんのインタビュー記事が載っていました。
横見出しとして「世界でトップを取る」。縦見出しには「3.11で社会変化、芸術家も動くとき、もだえ苦しみ作る」とあります。「世界でトップ」の話をしたいのでしょうか、「3.11後の芸術家」の話をしたいのでしょうか、見出しだけだとちょっと不明です。記事を読んでみると、見出しどおり、世界でトップの話と、3.11後の芸術家の話が、並列で書かれていました。

面白いと思った所を紹介します。

インタビュアーが村上さんはクールジャパンの旗手ですねと言ったのに対して、「クールジャパンなどとは外国では誰も言っていない。僕はクールジャパンとは何も関係ない」
村上さんの何が評価されていると思いますかという問いに、「日本の美を解析して、世界の人々が『これは日本の美だな』と理解できるように、かみ砕いて作品を作っていること」「僕は戦後日本に勃興したアニメやオタク文化と、江戸期の伝統的絵画を同じレベルで考えて結びつけ、それを西洋美術史の文脈にマッチするよう構築し直して作品化するということを戦略的に細かにやってきました」
そのあと、村上さんが「芸術企業論」や「芸術闘争論」にも書かれている言説が続きます。日本の芸術家は、グローバルな美術市場や美術作品流通のメカニズムの中で、戦略性をもって活動すべきだという論です。
最後に、3.11以降の社会に対し、「芸術ごときで世の中は変わらないが」と言いつつ、国際社会に発信し続ける活動家になると宣言されています。
今は、3.11のメモリアルになる全長100mの五百羅漢図を、100人のスタッフを使って作成中で、これを2月にカタールのドーハの個展で展示する予定だそうです。

今日のこの新聞記事を見る前に、村上隆さんが2011年11月9日にニューヨークのクリスティーズで「New Days」という3.11のチャリティー・オークションを仕掛け、6億8千万円の売上を上げた、という美術手帳2012.01に載っている記事を読んでいたので、2つの情報を合わせて、改めて、村上さんのグローバルで、問題意識を持った、戦略的な活動の一端を見たような気がしました。

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