かわった企画が嫌いでない私としては、早速行ってみました。
ユベール・ロベール(Hubert Robert)は、18世紀のフランスの画家で、1733年生まれ、1808年没ですから、50歳代半ばで1789年のフランス革命を経験することになります。同時代の画家としては、ロココ派のフラゴナールなどがいます。
ユベール・ロベールが何を描いたかというと、ローマの廃墟をモチーフにして、想像も交えて描いた風景画です。パンフレットには「廃墟のロベール」として名声を築いたと書いてあります。イタリア人が描く、都市景観画(ヴェドゥータ)や奇想画(カプリッチョ)のような絵を、フランス人のユベール・ロベールが、ローマを題材にして描いたといえばわかりやすいでしょうか。
今回展示されている作品の大部分は、フランスの南東部のヴァランスにあるヴァランス美術館が所蔵する、サンギーヌといわれる赤チョークで描かれた素描ですが、大きな油絵も、ヴァランス美術館、ルーブル美術館、イル・ド・フランス美術館、国立西洋美術館、静岡県立美術館、ヤマザキマザック美術館などから来ています。展示作品数は全部で130点。
展示は6章に分かれています。
- Ⅰ「イタリアと画家たち」、ユベール・ロベールが研究したと思われる、17世紀の風景画家たちの作品
- Ⅱ「古代ローマと教皇たちのローマ」、ローマの名所旧跡を描いた、ユベール・ロベールの若い頃の作品
- Ⅲ「モティーフを求めて」、ピトレスクなモティーフを求めてローマ郊外の自然や廃墟となっている神殿等を描いた作品
- Ⅳ「フランスの情景」、イタリアからフランスにもどって、フランスの広場や教会をモティーフとして取り込みながら、イタリアの思い出を展開した作品
- Ⅴ「奇想の風景」、自在にモティーフを取り扱い、「廃墟のロベール」の名声を得た時期の作品
- Ⅵ「庭園からアルカディアへ」、ユベール・ロベールは「国王の庭園デザイナー」という称号を得たように、庭園デザイナーとしての側面を持っている。ここでは絵と庭園の相互作用を感じさせる作品
展示を観て、ローマの廃墟の絵を堪能したと思えるか、同じような絵が沢山あり少し退屈してしまうかは微妙です。当時の貴族のように「ローマの廃墟を見ながら、時の移り変わりに想いをいたす」気持ちになるのは、現代人には難しいかもしれませんね。
国立西洋美術館、開催期間は2012年3月6日から5月20日です。
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