今、六本木の森美術館でイ・ブル展が行われています。
イ・ブル(Lee Bul)は1964年にソウルで生まれた女性アーティスト。1990年代にアジアに現れた傑出したアーティストの一人だと英語版WIKIPEDIAには書いてあります。1999年ヴェネツィア ビエンナーレの韓国代表。2010年に東京都現代美術館で行われた「トランスフォーメーション展」にも《クラッシュ》という作品が展示されていました。
会場に入ると、最初に天井から有機的な血のようなしみのある物体(作品)がぶら下がっているのでビックリします。その後は、何か気味悪いような、それでいて離れられないような、生命体を思わせる作品。自らが、その気味の悪い彫刻を纏って飛行場に出現するイベント作品の記録影像。人体を超えて人体の一部をサイボーグ的にしたようなプラスティックの造形作品。MOMAで撤去を命じられた生魚を装飾した作品の記録。作家が作品を孵化させるためにつかうスタジオを再現したスペース。過去/現在の韓国の歴史的/政治的状況を造形にしてみた作品。作家がお気に入りなのかなと思わせる大きな犬の作品。そして作家が森美術館で展示する所を記録したメーキング影像。
どんな作品かは、森美術館のウェブ・ページから見てください。
http://www.mori.art.museum/contents/leebul/introduction/index.html
この展覧会を見て、イ・ブルさんは、まさに現代の作家だと改めて感じます。作家としては、最初にイベントで注目されたというのも現代的です。1990年代のフェミニズムだと言われたイベントも、MOMAでの作品撤去の話も、スキャンダラスです。
作品を見ると、外面的でなく内蔵的な生命への関心、個人的なことばかりでない韓国の政治的・社会的なものへの関心など、イ・ブルさんが、作品を通して何かを探している、又は何かを探した過程が作品になっている、と感じることができます。
展覧会は5月27まで開催されています。アジアの現代美術に関心があるかたにはお勧めです。
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