静岡県立美術館は静岡駅から二つ目の草薙駅からタクシーで2メータで行けます。静岡県立美術館は1986年に開館した県立美術館で、収蔵品として、17世紀以降の日本の山水画・西洋の風景画、ロダンの彫刻、そして静岡県らしく富士山の絵を収集しています。
今回は残念ながら滞在時間が1時間半くらいしかとれなかったので、収蔵品展のほうは又の機会にして、企画展の契丹のほうに集中しました。
契丹民族は、10世紀から12世紀に、中国の北からモンゴルにかけて、北宋が苦慮した「遼」という国を作ったことで有名です。北宋は遼に対して毎年「歳幣」として銀や絹を遼に送り平和を買っていました。これが北宋を疲弊させた原因の一つだと言われています。
今回の展覧会では、そんな契丹の美術を、唐から受けた影響、遊牧民としての伝統、仏教の受容の観点で紹介しています。
展示の中で目を引いたのは、
- 彩色木棺。10世紀前半。幅130cm、長さ231cm、高さ110cmの大型の木棺で、赤い色で彩色され、牡丹唐草・鳳凰などの金属板が貼り付けられています。屋根部分が頭のほうが高く足のほうが低くなっているのが特徴です。
- 獅子文盒、龍文盒。10世紀前半。盒とは蓋つきの容器です。銀製鍍金の金属製で、打ち出しで、それぞれ獅子、龍が形作られています。唐の図像がここまで伝播しているのがわかります。
- 金製仮面、鳳凰文冠、鳳凰文靴、これらは埋葬された契丹のプリンセス「陳国公主」が付けていたものです。靴がブーツになっているのが遊牧民族の特徴を表しています。
10世紀から12世紀は日本では平安時代ですが、そのころ大陸では北宋と遼が拮抗して対峙しており、その遼では唐から受継いだ文化と遊牧民の文化を融合させた文化があったわけです。
この展覧会は、九州国立博物館から巡回し、2011年12月17日から2012年3月4日までは静岡県立美術館で開催され、4月10日から6月10日は大阪市立美術館、7月12日から9月17日は東京藝術大学大学美術館で開催されます。近くに来たときには立ち寄ってみたらどうでしょうか。
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