2012年2月19日日曜日

松井冬子展 世界中の子と友達になれる

横浜美術館で「松井冬子展 世界中の子と友達になれる」が開催中です。
美術手帳の2008年1月号の松井冬子さん特集を読んでから、気になる作家でしたので、これは観にいかないといけないと思っていましたが、やっと時間を作って横浜まで行ってきました。

松井冬子さんは、1974年に静岡県森町で生まれ、東京藝術大学で日本画を学ばれています。《世界中の子と友達になれる》は卒業制作です。2007年には博士論文「知覚神経としての視覚によって覚醒される痛覚の不可避」で博士号を取得されています。

今回は大学在学中の平成2001年から平成2011年までの作品が展示されています。

会場を入ると、正面に《盲犬図》があり、地が透けて見えるような細いうねった毛をもった、力を失ったでも生きることに執着している生き物の図に、引きずり込まれます。

会場は年代別でなくテーマ別に構成され、第一章「受動と自我」、第二章「幽霊」、第三章「世界中の子と友達になれる」、第四章「部位」、第五章「腑分」、第六章「鏡面」、第七章「九相図」、第八章「ナルシシズム」、第九章「彼方」となっています。
特に、2011年に作成された《転換を繋ぎ合わせる》《應声は体を去らない》《四肢の統一》を加えて5作品が展示されている「九相図」がハイライトでしょうか。

作品は、その描かれている対象が、死であり、喪失であり、消滅であることが、無条件に強い印象を与えます。これは間違いのないところです。ただ、それを理性的に分析して、考え抜かれたと思われる、輪郭線、構図、精妙な色彩で表現している所に、すごく惹かれます。

開催期間は2011年12月17日から2012年3月18日で、終了まであと1ヶ月ありますから、行ってみてはどうでしょうか。

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