東京国立近代美術館の企画展を行う一階会場に、ジャクソン・ポロックの作品64点のみが展示されているので、かなり余裕をもった展示になっています。目玉のテヘラン現代美術館所蔵の《インディアンレッドの地の壁画》などは一部屋使って展示されています。またポロックが、床に置いたキャンバスに缶の中の塗料を大きな筆で叩き付けている影像も、映写されています。会場を出た所には塗料だらけのアトリエも再現されていて興味を引きます。
展示は四章に分かれています
- 1930-1941年 初期 自己を探し求めて
- 1942-1946年 形成期 モダンアートへの参入
- 1947-1950年 成熟期 革新の時
- 1951-1959年 後期・晩期 苦悩の中で
ジャクソン・ポロックはもちろんアクションペインティングのポーリング技法によるオールオーバーな作品が有名なわけですが、この展覧会では、そこに至る作品と、その後の作品が、多数展示されていて、ポロックってどんな人だったんだろうという興味がつきません。
ちょうど百年前の生まれで、若い頃からアルコール依存症、44歳で交通事故で死亡。
初期の神秘的・表現主義的作品、ヨーロッパのシュールリアリズムの影響、まったく新しいスタイルの獲得、完成しすぎたスタイル故の次への模索。行き詰まりと突然の死。
評論家のクレメント・グリーンバーグ、コレクターのペギー・グッゲンハイムなどと共にアメリカの現代美術を作る。
この展覧会では、ジャクソン・ポロックにもともとある表現主義的な指向、シュールリアリズム的なオートマティスムの影響、メキシコ壁画のような大胆な塗料の使い方の習得、これらが1947年から1950年にかけて奇跡的な化学反応を起こし、全く新しいスタイルができあがるのを、目の当たりにすることができます。
お勧めの展覧会です。2012年5月6日までの開催です。
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