2012年4月28日土曜日

サントリー美術館 雪舟 山水長巻

サントリー美術館で、「毛利家の至宝 大名文化の精粋」展が開催されています。毛利家ゆかりの宝物で大名文化を改めて感じようという展覧会です。4月27日金曜日の夜に見に行きました。

肖像画、刀剣、書状、典籍、婚礼調度、茶道具などがあり、国宝7点、重要文化財20点と、見所満載です。

そうはいっても、私の最大関心事は、雪舟の《山水長巻》ですので、入場した後直ぐに直行。作品の前は、拍子抜けするほどすいていました。東博の「ボストン美術館展」など、立ち止まらないでなどと言われながら見る展覧会と比べると、雲泥の差です。

《山水長巻》は長さ16メートル、とにかく長い作品です。
端の方から見ていくと、これが雪舟だというごつごつした岩が目に入ります。そして山水画のお決まり、高士が童士をつれて道を歩いています。これから山水画がはじまると嬉しくなる瞬間です。

16メートルの絵をゆっくり見ていくと、樹の描き方には、松の描き方、杉の描き方、落葉樹の描き方、近くの樹の描き方、遠くの樹の描き方のパターンがあり、岩の描き方には、近くのごつごつした岩の描き方、上面が平らな岩の描き方、天から降りてくるような岩の描き方、穴が開いた岩の描き方のパターンがあります。人の描き方もパターン化しているようです。このような部品とも言えるパターン化したものを、近景、中景、遠景の中に、うまく配置し、水や空白の部分を置き、薄墨を使い空気遠近法のように奥行きを表現し、全体をひとつの作品として見せるようにしているのだということがわかります。もちろん、ただ部品を配置している作品ではなく、全体の構成、各部分の構図、樹や岩などのパーツの表現の仕方に、雪舟らしい大胆さや力強さがあります。
《山水長巻》は《四季山水図》ともいわれ、四季が描かれているはずなのですが、冬が雪山でわかりやすい以外は、意外に季節のシンボルとなるようなものが少なく、見終わってから、あれ、四季はどうだったのかなという感じです。絵の少しの変化を感じ、どこが春、夏、秋なのか探してみるのも楽しみの一つかもしれません。
今回近くで見て、水墨画といっても色が付いているのだなというのも、発見でした。水や岩には青、樹の葉には緑、花が実には赤、人の衣には茶や白などの色がついています。濃い色ではないのですが、これらの色が、墨の濃淡と組み合わせられて、絵をたいへん魅力的なものにしています。

絵の近くで、じっくり時間をかけて鑑賞でき、大満足でした。

サントリー美術館、「毛利家の至宝 大名文化の精粋」展は、2012年4月14日から5月27日までの開催です。



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