2012年4月22日日曜日

根津美術館 KORIN展

昨日、初日でしたが、根津美術館で開催された「KORIN展」に行って来ました。

なんといっても、今回は、根津美術館所蔵の《燕子花図屏風》とメトロポリタン美術館にある《八橋図屏風》が並べて展示指定あるのが目玉になっています。同じ伊勢物語の八橋を題材にした絵ですが《燕子花図屏風》を書いてから《八橋図屏風》までには10年の隔たりがあります。

感想は、同じ伊勢物語の場面からとったにしても、《燕子花図屏風》は燕子花を描いていて、《八橋図屏風》は八橋を描いているな、というものです。なんだ、タイトル通りで何を言っているんだと思われるかもしれませんが、じっと見ていると《燕子花図屏風》からは燕子花の変奏曲のような心地良いリズムが聞こえてきます、それに対して《八橋図屏風》では燕子花はいくつかのかたまりのマスになっていて、それよりも垂れ流し技法で描かれた橋の素晴らしさや構図の斬新さが見えてきます。

同時に展示されていた、光琳の《夏草図屏風》《四季草花図屏風》もなかなか良い感じでした。



以下、伊勢物語より、


むかし、男ありけり。
その男、身をえうなきものに思ひなして、
京にはあらじ、東の方に住むべき国求めにとて行きけり。
もとより友とする人、ひとりふたりして、いきけり。
道知れる人もなくて惑ひ行きけり。
三河の国、八橋といふ所にいたりぬ。
そこを八橋といひけるは、水ゆく河の蜘蛛手なれば、橋を八つ渡せるによりてなむ八橋といひける。
その沢のほとりの木の蔭に下り居て、餉(かれいひ)食ひけり。
その沢に、かきつばたいとおもしろく咲きたり。
 それを見て、ある人のいはく、「かきつばたといふ五文字を、句の上に据ゑて、旅の心をよめ」といひければよめる。

      からごろも 着つつなれにし つましあれば
      はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ

とよめりければ、みな人、餉の上に涙落して、ほとひにけり。

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