2013年4月24日水曜日

貴婦人と一角獣展 国立新美術館

今、15世紀から16世紀にかけては、ルネサンスの最盛期ですが、ゴシックが最後の光を放つ時代であり、リーメンシュナイダーの彫刻などすばらしい作品も制作されていました。実はそのころは、タピスリーの最盛期でもありました。今回、フランス国立クリュニー中世美術館から来ているのは、そんな時代の最上級の6枚のタピスリー《貴婦人と一角獣》で、《触覚》《味覚》《臭覚》《聴覚》《視覚》《我が唯一の望み》です。

国立新美術館の展示は、大きな半円形の部屋を作り、その壁面にこの6枚のタピスリーだけが掛けられています。その部屋の周りには小部屋があり、そこには、このタピスリーの動物、植物、服装、紋章の図像研究の展示があり、一角獣のキリスト教的意味や宮廷での意味が論じられています。つまり、全ての展示がこの6枚の絵に向いています。

ここには、ルネサンスが追求したような、三次元的な空間の描写、自然の再現、理想的な人体表現などはありませんが。赤い色と緑色の対比の心地よさ、植物であふれた画面の豊穣さ、可愛い小動物達、美人というよりも個性的な顔立ちの貴婦人と召使い達、一角獣がもつ象徴的な意味を思いめぐらす楽しみなどがあります。

西洋中世の作品を日本で観る機会はかなり少ないので、今回はたいへん良い機会だと思います。お薦めの展覧会です。開催期間は2013年4月24日(今日です)から7月15日です。

0 件のコメント:

コメントを投稿