2011年11月28日月曜日

法然と親鸞、宗教的テーマをどう見るか

2011年11月27日に、東京国立博物館の特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」を観に行きました。この展覧会は平成館で2011年10月25日(火)から2011年12月4日(日)に開催されているのですが、前半と後半でだいぶ展示替えが行われているので、観に行くのは2度目です。

後半に展示されているものの中での見所をいくつか挙げると、
知恩院の《法然上人行状絵図》(四十八巻伝)巻第三十七、法然承認が臨終にあたって、阿弥陀如来が来降する場面。法然上人は釈迦の涅槃のように横たわっており、その左の方から阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩が白い雲に乗り来迎してきます。周りに集まった人には阿弥陀如来が見えないのでしょうか、皆法然上人のほうを向いています。まただれも嘆き悲しんでいるように見えないのは極楽への往生は悲しいものではないからなのでしょうか。
西本願寺の《親鸞上人影像》。これは似絵の代表的な作品だそうです。顔は細い線で繊細に描かれ、着物は太い線で大胆に造形されています。親鸞上人らしく眉が少しつり上がっており、宗教的な信念や強い意志が感じられます。
神奈川県光明寺の《当麻曼荼羅縁起》下巻、女の人が当麻曼荼羅を織っている場面が描かれています。
禅林寺の《山越阿弥陀図》。山並みを超えて大きな阿弥陀如来が現れます。山のこちら側には雲にのった観音菩薩と勢至菩薩が少し腰をかがめてこちら側に近づいてきます。山の上には波が見えるので、山の向こうは海なのでしょう。知恩院の《阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)》にくらべると静的な造形になっています。

今回の展覧会も面白いなと思って観ている訳ですが、反面、このような宗教作品をこんなふうに観てても良いのかなという思いもあります。私は、宗教的な絵画を宗教的な知見を深めたり確信を深めたりしようとして観ている訳でなく、図像表現の面白さに惹かれて観ているわけです。それは作品の作者の意図していることではないですよね。
会場に来ている方の多くは、浄土教の信者なのでしょうか、美術愛好家なのでしょうか、どうなんだろう。


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