ブリティッシュ・カウンシルは、1934年にイギリスに設立された国際文化交流機関で、世界にイギリスの文化を広げることを目的とし、英語、アーツ、教育と社会に関する活動を行っています。ブリティッシュ・カウンシル自体は展示施設を持ちませんが、20世紀なかごろから、キャリアを積んでいない若手イギリスのアーティストの作品を購入し、ルシアン・フロイト、ヘンリー・ムーア、バーバラ・へップワース、ベン・ニコルソンをはじめとする現代作家の、8500点を超える作品を収集しています。
今回は、そのブリティッシュ・カウンシルのコレクションの中から選ばれた28人の作家の作品が展示されています。そのうちの5人は毎年イギリスを代表する現代美術の作家に贈られるターナー賞の受賞者です。「昔々あるところに・・・」「喜劇と悲劇の幕間に」「見たことのない景色の中で」「わたしの在り処」「’ちょっと拝借’の流儀」の5つの章に分けて展示されています。すべてが1990年後半以降の作品のため、20世紀中頃までの表現の純粋性を追求するようなモダニズム的指向は希薄で、個人のプライベートな関心事に拘り、個人をベースにしてなんらかのつながりを探し求めるような作品が多いように感じました。
興味があれば、東京ステーションギャラリーのウェブ http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/now.html だけでなく、こちらのブリティッシュ・カウンシルのウェブ http://www.britishcouncil.jp/private-utopia も見てから行くと良いと思います。
私のお気に入りは、
- サイモン・スターリングの、スペイン原産のシャクナゲを、外来植物となってしまっているスコットランドから、再びスペインへ返しにいく場面を写真の連作にした、《シャクナゲを救う/7本のシャクナゲをスコットランドのエルリック・ヒルから救いだし、1763年にクラース・アルステーマによってもたらされる以前に植えられていたスペインのロス・アルコルノカレス公国へ移植する》という作品。
- ハルーン・ミルザの、テレビの中に料理をする映像が写り、ノイジーな音が流れる、《タカ・タック》という作品。
現代のイギリス美術の動向を伝える、「プライベート・ユートピア ここだけの場所」は東京ステーション・ギャラリーで、2014年3月9日まで。場所も東京駅で便利なので、普段は現代美術を見ることのない方もちょっと立寄ってみてはどうでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿