2012年12月23日日曜日

中西夏之展 DIC川村記念美術館

左の写真は、DIC川村記念美術館の庭園にいる白鳥です。寒くて雨も降っていましたが、白鳥は普段通りです。

DIC川村記念美術館に来たのは、「中西夏之展」が開催されているからです。中西夏之さんは、1960年代の前半に、高松次郎さん、赤瀬川原平さんと共にハイレッド・センターとして「反芸術」的パフォーマンスを行ったことで有名ですが、今回は、改めて、初期の作品から最近の作品まで紹介する貴重な展覧会になっています。

今回展示されている初期の作品は、24歳から25歳のときに(1959年から60年)制作された、《韻》シリーズです。これは、砂を混ぜた粗い地の上に、たくさんのT字形の記号のような図を書き込んだ作品。見方によっては、古戦場の地図に書かれた兵の配置のようにも見えます。地図に書かれた丘や川のような有機的な形状の地のうえに、さまざまな変形を伴って単純な記号のパターンが繰り返されている様子は、見ていて飽きません。

中期の作品は、1963年から93年という長い期間の中で制作された、《洗濯バサミは攪拌行動を主張する》シリーズです。洗濯バサミと言っても、今あるプラスチックの洗濯バサミではなく、金属製の洗濯バサミです。見たことが無い人も多いかもしれません。その洗濯バサミが、作品にうたれた釘を掴んでたくさんぶら下がっています。金属の洗濯バサミが鈍く光を反射し、洗濯バサミの影が作品から溢れています。

最近の作品は、2009年から2011年にかけて制作された《擦れ違い/遠のく紫 し近づく白斑》シリーズです。最初にビックリするのはその展示方法です。縦2メートル50センチを超え、横は2メートルもある、大きなキャンバスが、壁にかかっているだけでなく、部屋中におかれたイーゼルの上に垂直に立てられたかたちで展示されています。その作品の数は15を超えます。というわけで、観るものは、絵の間を歩きながら、その空間を感じることになります。それぞれの絵の紫色と白色でつくられた空間が、たくさん並べるられることにより、全体としてメタ空間を形成するようになっています。

これは時間をかけて見によっても良かったと思える展覧会でした。

もちろん、わざわざDIC川村記念美術館までいったのですから、マーク・ロスコの《シーグラム絵画》やバーネット・ニューマンの《アンナの光》にも再会してきました。

「中西夏之展」は2013年1月14日までです。ちょっと東京から遠いですが、現代美術に関心がある方にはお薦めです。


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