豊田市美術館で、「カルペ・ディエム 花として今日を生きる」展が開催されています。
カルペ・ディエムとは、紀元前1世紀のローマの詩人、クィントゥス・ホラティウス・フラックスの『歌集』第1巻第11歌に出てくる言葉で、「一日の花を摘め」という意味だそうです。どうせ死ぬんだから今を楽しもうということです。
そういうわけで、今回の展示は12人の現代作家の、枯れことを予感させる花や死ぬ事にかかわる作品が展示されています。
イケムラレイコさんは、昨年秋に東京近代美術館で「うつりゆくもの」という展覧会が開催されていたので記憶に残っています。近美では陶製の少女が床に転がっていましたが、今回はそのメメント・モリ・バージョンで作品名も《メメント・モリ》という陶製の女性の腐敗した死体が床に転がっています。ストレートな表現ですが感じるものがあります。
インパクトがあったのは、伊藤薫さんの《Angela Reynolds wears Valentino》という作品で、きれいなドレスを着て死んでいく女性が写真になっています。バレンティノを着たアンジェラ・レイノルドさんは美しい顔をして木に引っかかっています。こんな死に方も悪くは無いと思ってしまいます。
荒木経惟さんは、奥さんとの新婚旅行の《センチメンタルな旅》シリーズの作品と、奥さんが死んだときの《冬の旅》シリーズの作品が並べて展示されています。ここにあるのはリアルな現実を作品に昇華させた形です。
宮島達男さんは、《Death Clock》、それぞれの人の死ぬまでの時間を時計が刻んでいきます。何十人ものDeath Clockが展示されているのは、気味悪くもあり一種壮観。
この展覧会には何か気になるものがあります。おもわず、まだ完成していない展覧会図録を予約して帰ってきました。
「カルペ・ディエム 花として今日を生きる」展は、豊田市美術館で、2012年9月23日までです。
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