今、東京国立博物館の総合文化展の7室で、久隅守景の《納涼図屏風》が展示されています。
久隅守景は狩野探幽の弟子で江戸時代前期の画家ですが、狩野派をはなれて活動をしていたため、生没年や経歴の詳細は不明ということです。
《納涼図屏風》は一般には《夕顔棚納涼図屏風》といわれる二曲一隻の屏風で、小さな貧しい小屋から張り出した夕顔棚の下に「ござ」を敷き、親子三人がほとんど裸で簡単な着物を付けただけで涼んでいる図です。女性なんかは上半身裸です。
図版では見ていたのですが、実物は初めて見たので、こんなに大きい絵だったのかと改めて思いました、もちろん屏風ですから大きいわけですが、図録ではそんな感じがしなかったということです。
夕顔棚というのもあまり知らなかったのですが、藤棚のような棚に夕顔がはわせてあるもののようです。ちなみにGoogleで「夕顔棚」と検索してみると、ほとんどこの《夕顔棚納涼図屏風》が引っかかってくるというのは、夕顔棚というのは珍しいものなのでしょうか。このへんは私も良くわかりません。
夕顔のさらっとした筆のタッチや、涼しげな親子など、見ているだけでも涼しく気持ちいいだろうなと思わせる絵です。
17世紀の作品ですから、日本でもヨーロッパでも僧侶や貴族でない一般人が好むような風俗画が描かれた時代の作品と言えるのだと思いますが、こんなにも何もしていない人が描かれた絵というのは世界にも珍しいのではないでしょうか。オランダの風俗画などでは、飲んで乱痴気騒ぎをしたり、手紙を書いたり、家事をしていたり、何かしています。
涼しい絵を見たいという方、世の中ぼんやりしてても良いではないかと思われる方、9月2日までに東京国立博物館に言ってみたらどうでしょうか。
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