現代美術の中で写真は外せないということで、今日はアンドレアス・グルスキー展へ。
ここ10年ギャラリー向けの写真でもっともよく使われるスタイルは、無表情という意味のデッドパンだといわれています(シャーロット・コットン『現代写真論』より)。デッドパンはクールで、超然としていて、大きく、鮮烈なところが特徴だそうです。その中でも代表的なのが、デュッセルドルフ芸術アカデミーのベルント・ベッヒャーのもとで学んだアンドレアス・グルスキー(1955−)だといわれています。
グルスキーの写真は何と言っても大きい。《フランクフルト》という飛行場の掲示板が写されている作品は、縦237cm、横504cmもあります。そして対象から離れたところから見る視点をとっているにもかかわらず、すみずみまで鮮明な画面になっていることが衝撃的です。ディスカウントショップの陳列棚を撮った《99セント》、パリのアパルトマンの並んだ窓を撮った《パリ、モンパルナス》、北朝鮮アリラン祭のマスゲームを撮った《ピョンヤン》、地下1000メートルにあるニュートリノ検出装置を撮った《カミオカンデ》。商品取引所に人が密集しているのを撮る《シカゴ商品取引所Ⅲ》。
このような作品は、アナログの大判カメラで撮影し、現像したネガをスキャナーで読み取り、修正を掛けた後、画像を繋ぎ合わせ、でき上がったデータを再びネガに焼き付けてプリントするそうです。
今回は、このような大きく鮮明だけでない、油やゴミにまみれた川面を瞑想的な雰囲気で見せる《バンコク》シリーズ、衛星写真をデジタル処理で加工した《オーシャン》シリーズなども出展されています。
人は何を見ているのか、それを改めて考えるようにと、迫ってくるような展覧会でした。
現代美術に関心ある方には、ぜひ見ることを薦めたい展覧会です。国立新美術館で2013年9月16日まで開催されています。
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