2013年1月21日月曜日

エル・グレコ展 東京都美術館

エル・グレコ(1541−1614)はベラスケスやゴヤとならぶスペインを代表する画家だといわれています。1541年にギリシャのクレタ島で生まれ、イタリアで活動した後、1576年にスペインに渡り、対抗宗教改革ただなかのトレドで活躍します。
今、東京都現代美術館で開催されている、「エル・グレコ」展は、そのエル・グレコの油彩作品が47点、テンペラ作品が3点出展されている、充実の展覧会です。

10点ほどの肖像画を除けば、後はすべて宗教画です。絵を観るとき、そこに描かれている「ものがたり」(内容)を観るのか、形・色・構成(形式)を観るのか、いつも気になります。特に今回のような宗教画では、それをどう観たら良いのか、考えてしまいます。例えば、今回も《無原罪の御宿り》という大きな作品が出展されていますが、今の日本で「無原罪の御宿り」という「聖母マリアは元祖アダムの罪を免れている」という教義に強く感銘する人は多くはないのではないでしょうか。ということは、多くの人は、グレコのこの絵の、形・色・構成(形式)を愛でることになるでしょう。そう割り切ると、グレコの作品の現代にも通じる良さが見えてくるような気がします。

グレコの作品全体を通じて、私が感じるのは、

  • 画面の中の空間に「ねじれ」が感じられ、それが絵を観ている人の空間にまで影響を及ぼすように見えること
  • 赤、青、黄色など、大きな色面の対比が心地よいこと
  • 衣を描く、大胆な筆致に魅せられること
  • 人物の顔に現れる、その人の意志のようなものから、眼をはなせなくなること
絵の見方は人それぞれでしょうが、私には眼をはなせなくなるような作品が多かったことは間違いありません。これは見に行くべき展覧会だと感じました。

東京都美術館のエル・グレコ展は2013年1月19日から4月7日です。

(いつも展覧会に行った後、図録を買おうかどうか迷いますが、今回の図録はテキストが充実していたので、迷わず買ってしまいました。)


0 件のコメント:

コメントを投稿