2012年11月25日日曜日

現代の座標 工芸をめぐる11の思考 東京国立近代美術館工芸館

たまには現代の工芸を観てみようと言うことで、東京国立近代美術館で開催されている「現代の座標 工芸をめぐる11の思考」展へ。

11人の多様な現代の工芸家の作品を集めて、現代の工芸とは何かを考えようと言う趣旨の展覧会です。

11人の作品をみて思うことは、


  • 栗木達介 陶器、帯状のものを球形に造形した作品
  • 森口邦彦 友禅、染織には馴染みがないのですが、もしかしたら面白いと感じさせる
  • 田中信之 漆、 3次元の漆の面に引き寄せられます
  • 池田巌  漆、 《作品(無題)》という用を求めない漆器が良い感じです
  • 八木明  磁器、青白磁、用の形を保ちながらフォルムの楽しさがある作品
  • 楽吉左衛門 陶器、茶陶の伝統を引継ぐと現代ではどうなるかという興味を引く
  • 武山直樹 銅、 ドレープ状の銅板に七宝の釉をかけて焼き、金箔・銀箔で点描装飾するとどうなる
  • 黒田泰造 磁器、円筒形の薄く造られた白磁が並ぶと、そこに見えるものは・・・
  • 小田橋昌代 ガラス・エナメル着彩、ガラスで人の像が造られています、これは工芸か彫刻か
  • 畠山耕治 青銅・鋳造、青銅製の多角形の容器、表面の模様は作為か偶然か
  • 関島寿子 木の蔓、木を編んだり組んだりするとどうなるか、籠に近いものもあるけれど、木という素材そのものを楽しもうという作品も
工芸に対しては、今までちょっと敬遠気味でしたが、ちゃんと観ると面白いですね。特に私のお気に入りは関島さんの木の蔓やシュロの葉を使った作品でした。

「現代の座標 工芸をめぐる11の思考」は東京国立近代美術館工芸館で2012年9月15日から12月2日までの開催です。

中国絵画 石濤・八大山人 泉屋博古館分館

早く行ってみたいと思っていた、泉屋博古館分館(六本木)で開催されている、「中国絵画 住友コレクションの白眉 石濤・八大山人−君はこの名画を見たか−」展に行ってきました。

明の末期から清の始めにかけて、社会は大きく変化している中で、個性的な画家が活躍していました。今回展示されているのはそのような画家たちの作品です。

  • 八大山人《安晩帖》
  • 石濤《廬山観瀑図》
  • 石濤《黄山図巻》
  • 漸江《江山無尽図巻》
石濤の作品を見たことはなかったのですが、観ているとじわじわと良くなってきました。ゆっくり観たい作品です。

安晩帖は三日毎に一枚づつ展示替えが行われていて、私が今回見たのは「菊鶉図」でした。《叭々鳥図》を見たかったのですが、すでに終わってしまっていました。

明・清以外にも、国宝になっている南宋時代の伝閻次平《秋野牧牛図》の展示もあって、たいへん満足しました。

会期中に今回の入場券を持って行くと、次は半額とのことなので、もう一度行ってみたいと思っています。

「中国絵画 住友コレクションの白眉」展は泉屋博古館分館で、2012年10月13日から12月16日までの開催です。


棚田康司「たちのぼる。」展 練馬区立美術館

今日で終わってしまった展覧会ですが、練馬区立美術館(左の写真です)で開催されていた棚田康司さんの展覧会です。

棚田さんの作品は、彩色した木彫の人物像です。
少女・少年が題材になっているのが多いのですが、見てすぐに連想したのが、ヨーロッパの彩色されたキリスト像です。生々しく、何か気持ち悪く、見方によれば崇高。

今回の展覧会は終わってしまいましたが、インパクトのある作品が多かったので、棚田さんの作品を観る機会があれば、また行ってみたいと思います。

棚田康司「たちのぼる。」展は2012年9月16日から11月25日まで開催されていました。

2012年11月18日日曜日

巨匠たちの英国水彩画展 Bunkamuraザ・ミュージアム

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「巨匠たちの英国水彩画展」は、マンチェスター大学ウィットワース美術館が改修中ということで、その所蔵品の展覧会です。150点を超す作品が展示されています。

水彩画だけの展覧会ということで、地味な展覧会かなと思いながら見に行きました。第一章「ピクチャレスクな英国」のあたりは、まあ予想通りという感じ。第二章の「旅行:イタリアへのグランド・ツアー」では、200年前のイギリスの金持ちは絵葉書がわりに水彩画を買ったというのがわかります。第三章は「旅行:グランド・ツアーを超えて、そして東方へ」ということで、更なる異国の絵葉書がわりの水彩画です。第四章「ターナー」になると俄然良くなります。水彩らしい色にあった造形が何ともいえず良い感じです。第五章は「幻想」ということでウィリアム・ブレイクとフュースリなど、英国にはたまに変わった人がでてきます。第六章は「ラファエル前派の画家とラファエル前派主義」、ミレイ、ロセッティ、バーン=ジョーンズと揃っています。第七章「ヴィクトリア朝時代の水彩画」、第八章「自然」で終わりになります。

全体を見ての感想は、「ターナーは水彩も良いな」でした。
特に水彩フリークの方でなくても楽しめると思います。

この展覧会は2012年12月9日まで、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催です。


2012年11月10日土曜日

美術にぶるっ! ベストセレクション日本近代美術の100年 東京国立近代美術館

昨日、東京国立近代美術館に。
東京国立近代美術館が開設されたのは1952年で、ちょうどいま60周年です。2012年10月16日から2013年1月14日まで、60周年を記念する収蔵品展が「美術にぶるっ ベストセレクション日本近代美術の100年」として開催されています。
展示は第一部「コレクションスペシャル」と第二部「実験室1950s」に分かれています。第一部の方は、コレクションスペショアルの中でも特にスペシャルな作品から展示が始まり、その後はテーマや年代に分けて展示されています。第二部はタイトルの通り1950年代に焦点をあてた展示でタイムマシンでタイムスリップしたような気になります。

日本の近代美術にそれほど興味のない方にも、この展覧会はお勧めです。やはり、良い絵があります、気になる絵があります、時代を感じる絵があります、特定の作品を改めてじっくり観賞するのもよいでしょうし、美術史的に振り返ってみるのも良いと思います。

昨日は、たまたま、研究員の方が写真の展示を説明されるギャラリー・トークに参加することができました。そこでは、東京国立近代美術館の写真への取り組みの歴史など興味深い話が聞けたのは収穫でした。今回は絵画作品が多いので、写真の小さな部屋は素通りしてしまいがちですが、ぜひ写真展示にも立寄ってみて下さい。

私は、もう一度この展覧会に行ってみたいと思っています。

2012年11月3日土曜日

メトロポリタン美術館展 大地、海、空—4000年の美への旅 東京都美術館

東京都美術館で、「メトロポリタン美術館展 大地、海、空−4000年の美への旅」が行われています。

この展覧会の特徴は、作家、年代、地域にとらわれず、「大地」「海」「空」というテーマで展示をしていることです。そこで、今回はゲーム感覚で観賞してみようと決めて、いつもはどうしてもキャプションに目がいってしまうのですが、それをちょっと我慢して、キャプションを見ずに作品の年代や地域を言い当てられるかどうか試してみました。

難しかったのは、彫刻作品。エジプトのカバなんかは現代の作品と言っても良い造形感覚です。また、エジプト、ギリシャは分かっても、メソポタミア、ペルシャ、古代イタリアなどは、うーんどこだろうという感じです。

年代を当てやすいのは19世紀の作品。ここは年代というよりも作者が主張してきます。クールベ、ルノアール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、アンリ・ルソー。

さすがにメトロポリタン美術館は米国を代表する美術館で、今回の展示の中にはハドソン・リヴァー派などアメリカの風景画家の作品が多く出品されていたのですが、ずっと見ていると、これはアメリカの画家の風景画と分かるようになります。

「大地、海、空」というテーマが効いているかどうか?、4000年にしては近代以降が多いのでは?、といった感はありますが、観て楽しい作品が多いので、行って損はない展覧会です。来年1月4日までの開催です。