- 善水寺の誕生釈迦仏立像。奈良時代8世紀の銅造の仏。入り口すぐの所にあります。釈迦が生まれてすぐ、獅子吼した時の姿を表していて、右手を天に向け左手は地に向けています。腕は、幼児のように太く表現されていますが、頭はちょっと小さめ。
- 石山寺如意輪観音半跏像。石山寺の旧本尊の前立仏(平常公開されない秘仏の前に身代りとして安置される仏)と伝えられています。10世紀後半の作。如意輪観音は六観音の一つで、無限の宝を出す宝珠と煩悩を打ち砕く法輪の功徳で、衆生の苦を救い,宝財を施して願望を意の如く成就するそうです。如意輪観音は六臂が多いのですが、この像は時代の古い二臂の作例です。
- 明寿院大黒天半跏像。11世紀の作。甲冑をつけた武装大黒天といわれる姿です。大黒天の起源に関しては、インドのシヴァ神、クベーラ神説などあり大変興味深いので、また勉強したいと考えています。後の時代には大黒天は大国主神と習合して、いわゆる「大黒さま」になって行きます。
- 櫟野寺(いちいのでら)十一面観音立像。10世紀の作。像高167.4cmと大きく存在感があります。様々な方向から顔をみると、表情が変化して、写真の図像よりもずっとよいと感じました。
- 永昌寺地蔵菩薩立像。10世紀の作。永昌寺は甲賀の農村にある天満宮の別当寺です。像は量感のある体躯をしていて、深く刻まれ衣文は、きっちりと整理されています。最初は僧形神像だった可能性もあるといわれているようです。
- 石山寺多宝塔の大日如来座像。鎌倉時代12世紀、快慶の初期の作です。顔は大きいのですが天冠台を頭の上に載せているせいか、全体のバランスはとれていると感じます。前で見ていると迫力ある顔が迫ってくるようです。衣文や足の曲線などが美しく表現されています。
涅槃図など仏画にも面白いものがありましたが、夜も遅くなってきたので、今日の復習は仏像に留めておきます。
「近江路の神と仏」展は三井記念美術館で11月25日までの開催です。