混雑を心配している方もいらっしゃると思いますので、最初に混雑情報。金曜日午後2時半に到着でしたが、入場券を買った後、切符切りのところで入場制限をしていて、ここでの待ち時間は15分くらい。展覧会場の中の《真珠の耳飾りの少女》のところで絵の近くで見る人は列を作る仕掛けになっていて、ここでの待ち時間は20分くらいでした。
マウリッツハイス美術館は、オランダが全盛であった17世紀に、オランダ総督ウィレム5世とその子オランダ国王ウィレム1世が収集した作品を核とした収蔵品をもつ美術館です。現在、改装中ということで今回多くの作品が日本に貸し出されてきています。
当然、今回の展示も17世紀オランダとフランドルの絵画です。展覧会場は3フロアに分かれていて、地下一階からエスカレータで順次上がって行きます。地下一階は「美術館の歴史」「風景画」「歴史画」、一階は「肖像画とトリーニー」(トローニートは特定の人物の肖像画ではない人物像)、二階は「静物画」「風俗画」
展示の中で、気になったもの、気に入ったものを紹介します。
- ヤーコブ・ファン・ライスダール《漂白場のあるハールレムの風景》1670−1675
地平線を低い位置にとって、遠くにはハールレムの街が細かく描かれている。その上には雲が広がっている。光の具合が精妙。 - ペーテル・パウル・ルーベンス《聖母被昇天(下絵)》1622−1625
アントワープにある作品の下絵、下絵とはいえルーベンスが自ら描いたもので、ドラマチックな表現。 - アンソニー・ヴァン・ダイク《アンナ・ウェイクの肖像》1628、《ペーテル・ステーフェンスの肖像》1627
肖像画を描いてもらうならヴァン・ダイクが良いですね。ベラスケスなんかに描いてもらったら隠している悪意まで描かれてしまいそうだし、レンブラントに描いてもらったら年をとったところを曝け出されてしまいそうですが、ヴァン・ダイクなら注文主の期待を裏切ることがないでしょう。 - カレル・ファブリティウス《ごしきひわ》1654
小林頼子さんの『フェルメール論』では、フェルメールが影響を受けたデルフト派の画家としてこのファブリティウスをあげています。小さな作品ですが、壁とその前の鳥のいる空間をこんなふうに表現できるのに感心。 - ヤン・ステーン《親に倣って子も歌う》1668−1670
ヤン・ステーンお得意の風俗画です。大きな絵の中に、人がひしめいていて、空間も乱痴気騒ぎで歪んでいます。こんなことをしてはいけないという教訓画だそうですが、でも本当はこんなのが好きだったのではないかと思ってしまいます。 - ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》1665
フェルメールの絵は室内が描かれているものが多いのですが、この絵と、メトロポリタン美術館の《少女》は部屋は描かれず暗い背景に人物が表現されています。まわりに何もないだけ、見る人は描かれている少女に引きつけられていきます。ほら、こっちを見ていますよ。
止まらないで見てくださいと言われながら絵を鑑賞するのはいやですが、それでも一見の価値はあります。東京での開催は9月17日までです。その後9月27日から2013年1月6日まで神戸市立博物館に巡回です。
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