2012年7月7日土曜日

「具体」-ニッポンの前衛 18年の軌跡  国立新美術館

まだ戦争が終わって10年も経たない1954年に、当時の前衛的美術家が吉原治良のもとに集まり、具体美術協会「具体」を結成しました。それは18年続き1972年に吉原治良の死とともに終わりになります。この展覧会は、その日本の前衛美術ムーブメントを振り返ってみる展覧会です。

こういう展覧会を見に行く時、当時輝いたものが残念なものに変質していないかという危惧があります。まだ時間のフィルターにかかっていないが、賞味期限になってしまった作品に出会う危惧があるわけです。
当時の熱気を追体験できるか、それとも見たくないものを見てしまうのか。期待半分、怖さ半分で、展覧会会場に行きました。

国立新美術館一階の会場は、金曜日の夕方という事ですいています。

以下は感想です。

  • 「具体」が最初は展覧会を開くよりも、「具体」という冊子をつくり、自らの作品を国内外に知ってもらおう事に重点を置いていたという事は知りませんでした。「具体」の2号と3号はジャクソン・ポロックにも送られていました。これは美術家集団の試みとしては新しい試みですね。
  • 今年の2月から5月まで東京都現代美術館で田中敦子さんの展覧会が開催していましたが、そこにもあった作品が今回も展示されていました。現代美術館の時と同様に、ベルで大きな音を出す作品が、会場に鳴り響いています。田中敦子さんは今でも現代の作品として通用します。
  • 白髪一雄さんは、足で描くアクション・ペインティングで有名で、今回もそういった作品も展示されていましたが、私には、《超現代三番叟》という真っ赤で大きな舞台衣装に興味を引かれます。
  • 「具体」と「アンフォルメル」との接近に関しては知っていましたが、今回改めて、具体メンバーとミシェル・タピエが写った写真などを見て、その関係の深さが理解されました。海外に作品をもっていきやすいように、当初は多くあったインスタレーション作品が少なくなり、絵画作品が増えたというような、解説もありました。そういうこともあったのですね。
  • 私個人の感想としては、アンフォルメル的であったり、暑い抽象といった作品でないものに、面白いものがありました。
9月10日までですので、興味ある方は行かれてはどうでしょうか。今見ても面白いものがたくさんあります。

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