貞慶は作家ではなく平安時代末期から鎌倉時代にかけての高僧です。ですからこの展覧会は空海展や法然展といった種類の展覧会です。遠忌というのは50年以上経った年忌ですから、貞慶の没後800年を記念しての展覧会ということになります。
貞慶は当時あらわれた法然や親鸞の浄土宗や浄土真宗に対抗する、南都仏教の法相宗の高僧になります。法相宗は玄奘三蔵を元にして慈恩を祖とする宗派で、「個人にとってのあらゆる諸存在が、唯(ただ)、八種類の識によって成り立っている」という唯識論を信奉しています。有名な運慶の「無箸」「世親」の像は法相宗の僧です。
今回の展覧会では、貞慶ゆかりの、笠置寺、海住山寺や、興福寺、春日大社に関わる、展示がされています。
私の見所リストは、
- 《春日権現験記絵》第十一巻、宮内庁三の丸尚蔵館
- 《興福寺曼荼羅図》、京都国立博物館
- 《法相曼荼羅図》、根津美術館
- 《春日宮曼荼羅》、バーネット&バートコレクション
- 《弥勒菩薩立像》、東大寺中性院
- 《釈迦如来立像》、峰定寺
- 《四天王立像》、海住山寺
- 《五重塔初層内陣扉絵》、海住山寺
この展覧会は、2012年6月8日から7月29日までです。東京からはちょっと遠いですが、鎌倉時代の絵画・彫刻に興味がある方は行ってみてはどうでしょうか。