2013年3月17日日曜日

ラファエロ展、国立西洋美術館

現代にいたる美術は、ルネサンスそれも特にラファエロからどう発展させるか、またラファエロをどう否定するかを、追求していった歴史だといえるのだと思います。
というわけで、ラファエロ自筆の作品を見られる機会が東京であるのなら、見に行かないというわけにはいきません。

今回は、国立西洋美術館、フィレンツェ文化財・美術館特別監督局、読売新聞社、日本テレビ放送網が主催し、フィレンツェ文化財・美術館特別監督局長官が総合監修を行う形で開催されています。

出展作品のうち22点が、ラファエロ・サンティ本人の作ですから、ビッグ・ネームが展覧会のタイトルになっていても、ほとんどが工房の作品であったり、周辺の画家の作品であったりする展覧会とは一線を画しています。作品も、ウフィツィ美術館、カポディモンテ美術館、ペルガモ・アカデミア・カッラーラ絵画館、ブタペスト国立西洋美術館、ルーブル美術館、フィレンツェ・パラティーナ美術館、ウルビーノ・マルケ州国立美術館、J・ポール・ゲッティ美術館、プラド美術館、ヴァチカン美術館と、様々なところから集められています。

改めて作品を目にして感じたのは、見たままそのものを再現的に表現したものではなく、対象を理想の比例配分で見直し、輪郭線の美しさを強調し、筆の跡を消すことにより描くという行為に気づかせないようにした作品であるということです。ヴェネチア派とは異なる調和がとれた色の使い方や、細かく書き込まれたアクセサリーの繊細さも目を引きます。
ラファエロは伝統・権威のもとになってしまっていますから、ラファエロには興味が無い・好きではないという方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひ現物の作品にあたって見たらどうでしょうか。私は純粋に気に入りました。
図録の中には、「ラファエロと16世紀の装飾芸術の革新」というテキストも載っています。16世紀宝飾に目をつけて、作品を見てみるというのも面白いかもしれませんね。

「ラファエロ展」は国立西洋美術館で、2013年4月19日までの開催です。

0 件のコメント:

コメントを投稿