2012年9月15日土曜日

辰野登恵子・柴田俊雄 与えられた形象 国立新美術館

 「与えられた形象」というタイトルで、辰野登恵子(たつのたえこ)と柴田俊雄(しばたとしお)の2人展が、国立新美術館で開催されています。

 辰野登恵子さんは色彩豊かな抽象絵画の画家。柴田俊雄さんは人工物の風景を写真にする写真家。その2人の「与えられた形象」(英語で言うと"Given Forms")というタイトルの展覧会です。
 
 辰野登恵子さんは、まず、絵の大きさが気持ち良い。例えば《UNTITLED 94-3》という作品は227.0 X 182.0cm。他の作品もだいたい同じくらいのサイズの作品になっています。このくらいの大きさの作品が、国立新美術館のようなホワイト・キューブの中に展示されていると、観るものと絵との関係がすごく良い。東京国立近代美術館の「ポロック展」でも思いましたが、やはり絵の大きさはすごく大事です。
 次に良い感じなのが、描かれる対象(それが具体的なものであれ、心象的なものであれ)であるオブジェクトと、画面のイメージの関係が、絵の枠の中で相互に浸食していく感覚。大きな形を見ていると、知らず知らずのうちに、目は表面の絵具の動きに移っています。絵の色彩の変化や色彩の接続を楽しんでいると、そこにある大きな構図に気づきます。それが何度も繰り返すような感覚があります。そこには大きな構造と微妙な表現が共存しています。
 とにかく、一つの絵の前に長い間いてもまったく飽きることがありません。

 柴田俊雄さんが撮る写真は、大規模な土木工事が多く、それは大きなダムであったり、土砂崩れを防ぐ土留めであったりします。繰り返し現れる人工物の形、積み重ねられたコンクリートのブロック、延々と続く細い鉄製の階段。でも、それらの人工物も自然の中にあるため、直線や平面を主張することはできずに、山や土や川の動きに合わせた空間の歪みを受け入れなければいけません。
 隅々にまでフォーカスされて、中心も無く周辺も無い、自然と人工物の造形が、カメラの枠で切断され、美術館の壁に現れています。カメラはそれぞれの土地に結びついた構造物を再現しているはずですが、感じるのは土地との結びつきを感じない抽象的な構成です。

 2人は東京藝術大学の同級生で、ポップ・アートやミニマル・アートの時代に、それぞれのアートを作り上げていきました。今では異なる様式で制作していますが、このような2人展であらためて作品を並べてみると、そこには何か共通するものを感じます。

 かなり気に入ったので、帰りがけに図録を買いましたが、これがかなりの大作。図録を手渡されるとき「重いですよ」といわれて持ってみると、本当に重いのでビックリ。

 「与えられた形象」展は、国立新美術館で、10月22日までの開催です。

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