国立新美術館で、「オルセー美術館展 印象派の誕生 描くことの自由」が始まったので観に行きました。
印象派の誕生とありますが、あまり印象派にとらわれずに、19世紀から20世紀にフランスでどのような絵が描かれたのかを観に行くと良いと思います。
展示は、第一章「マネ、新しい絵画」、第二章「レアリスムの諸相」、第三章「歴史画」、第四章「裸体」、第五章「印象派の風景」、第六章「静物」、第七章「肖像」、第八章「近代生活」、第九章「円熟期のマネ」となっており、マネに始まりマネに終わります。
第一章では、マネの《笛を吹く少年》が見所です。正直にいうと、軍楽隊用のするどい音がする横笛を吹く少年の絵のどこが良いのだろうと、思っていました。実物を観ると、平面的な画面に描かれた、黒い上着、赤いズボン、それらを縁取る白い絵の具の、見事な色面の対比が良いのだとわかります。
第二章では、ミレーの《晩鐘》がなんといっても有名です。夕方になり晩鐘が鳴ると、農民が死んだ人々を憶って祈る場面です。庶民を敬意をもって描くのが、この時代のあらたな潮流だったというのがわかります。
第三章はアカデミーの歴史画です。印象派が出現してくる時に、まだ因習的な歴史画も描かれていましたと紹介される絵に興味を覚えます。次の第四章に展示される、ブグローやカバネルも同じ文脈の作品です。
第四章にあるモローの《イアソン》はモローが好きな方には必見。繊細な装飾物の表現などモローならではです。
第五章「印象派の風景」には、日本でも馴染みのある作家の作品が並んでいます。
第六章では、ファンタン=ラトゥールの《花瓶の菊》に、この時代の静物画があらわれているようにおもいます。
第七章の肖像では、ホイッスラーの《灰色と黒のアレンジメント第1番》が見所です。黒い服を着た老女が横を向いて座っている作品ですが、その黒いかたまりと左側にあるカーテンのようなものの対比が観る人に強い印象を与えます。タイトルにあるように、音楽的といってもよいかもしれません。ホイッスラーはもっと追っかけてみたい作家の一人です。
第八章、ドガの《バレエの舞台稽古》はドガらしい作品。モネの《サン=ラザール駅》も観ておきたい。
第九章は晩年のマネの作品ですが、《アスパラガス》がおいしそうです。
今回の展覧会では、観ておきたい絵が多く来ています。できれば、19世紀から20世紀にかけての絵画の展開を整理した上で行くと、より楽しめるのではないでしょうか。
「オルセー美術館展」は国立新美術館で10月20日までの開催です。
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