2014年10月8日からブリヂストン美術館で「ウィレム・デ・クーニング展」が開催されています。デ・クーニングを日本でまとめて見られる機会は少なかったので、早速行ってきました。
抽象表現主義は、日本でも2012年に回顧展が開催されたジャクソン・ポロックや、川村記念美術館に良いコレクションがあるマーク・ロスコが有名ですが、ウィリアム・デ・クーニングも見逃せない作家です。
今回は、パワーズ・コレクションの1960年代の女性像を中心に35点が、入口に近い2室に展示されています。パワーズ・コレクションのポップ・アート作品は2013年に新国立美術館で開催された「アメリカン・ポップ・アート」で見ることができましたが、パワーズ・コレクションはポップ・アートだけではなかったわけです。パワーズ・コレクションの他には、国内の美術館の所蔵品から7点、ニューヨーク近代美術館から1点、個人蔵の1点が展示されています。
ウィレム・デ・クーニングは、1904年オランダのロッテルダム生まれ、1926年に渡米して、ニューヨークで抽象表現主義の作家といわれるようになっていきます。デ・クーニングの代表作は1950年代の女シリーズで、その強烈な色使い、グロテスクなイメージ、立体感を拒絶した平面性に特徴があります。今回出展されている作品は、作家60才代の作品が中心になっていて、強烈さは少し整理されて弱まっているかもしれませんが、デ・クーニングらしさは十分感じられるものになっています。
今まで図版でしか見ていなかったデ・クーニング作品を目の前にすると、赤と緑の補色を大胆に使った色遣い、白い絵の具が生なまま存在する絵の具の物質感、どこから始まりどこで終わるのかわからない線から見えてくる形象、眼や口を取り出して強調した顔のイメージ、立体感を拒否した筆跡と、見えてくるものがたくさんあります。デ・クーニングは、何かを表象することを徹底的に否定し、作品自体で存在することを追求したのではないかと、感じます。
抽象表現主義というと「アクション・ペインティング」という言葉がセットのように付いてまわりますが、これはハロルド・ローゼンバーグという批評家が書いて有名になった言葉です。もっとも有名なアクション・ペインターはジャクソン・ポロックですが、ローゼンバーグはデ・クーニングを見てアクション・ペインティングといったと言われています。デ・クーニングが、パネルの前でどんな行為を行ったのか、その結果がどうなったのかを考えるのも良いのではないでしょうか。
「ウィレム・デ・クーニング展」は2015年1月12日までの開催です。
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