2014年4月10日木曜日

東大寺展 あべのハルカス美術館

大阪出張で時間ができたので、天王寺に新しくできた「あべのハルカス」の中にある「あべのハルカス美術館」へ。

今は開館記念特別展ということで、2014年3月22日から5月18日まで、「東大寺展」が開催されています。

「あべのハルカス美術館」のWEBを見ると、特徴は(1)ターミナル立地の都市型美術館、(2)国宝も展示可能な設備、(3)近鉄沿線の文化財をはじめ、日本・東洋・西洋・現代と多彩な展覧会を企画とあります。正直なところ、なんだか良くわかりません。近鉄が力をいれて開設した美術館であることは間違いないようです。

今回は最初の展覧会ということもあって、国宝《誕生釈迦仏立像・灌仏盤》、重要文化財《木造弥勒仏座像》など、国宝や重文が多数出展されていて、見ごたえはあります。

私は、《執金剛神立像》の彩色を東京芸大と理科大が再現したCGに興味がありました。うーん、当時はこんな極彩色だったんだ・・・。

天王寺の近くに行かれるかたは、寄ってみたらどうでしょう。

この美術館の今後の展覧会予定を見ると、今BUNKAMURAで開催されている「ミラノ ボルディ・ベッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」の巡回、「デュフィ展」、「新印象派光と色のドラマ」、「高野山開創1200年記念 高野山の名宝」となっています。今後は、東京のBUNKAMURA的な路線を目指すのでしょうか?

2014年3月31日月曜日

シャガール展 静岡市美術館

もう終了してしまいましたが、静岡市美術館で開催されていたシャガール展を観ての観想です。この展覧会は2013年の夏から、北海道立近代美術館、宮城県美術館、広島県立美術館、静岡市美術館と巡回し、最後に2014年4月から愛知県美術館で開催されます。

展覧会コンセプトは60才を過ぎたシャガールが、1950年以降、歌劇場、美術館、大聖堂などの大きな空間を飾る作品を制作したのを見ていこうという企画です。

シャガールは、天上画、ステンドグラスなどの様々なフォーマットの中でも、シャガールが獲得したシャガールらしい表現を行っているように見えます。奥行きの無い平面性を強調する絵の具の表現、稚拙ともいえる形象の中に懐かしいようなシンボルを見いだす表現。20世紀後半の作品としてのコンテンポラリーな感じの無さが、劇場、教会などという伝統的な建造物とマッチしているようです。

私の個人的な観想としては、馴染みのシンボルに囲まれる気持ち良さと、20世紀後半の表現がこれで良いのかという思いが交差した、というのが正直な所です。

興味がある方は、名古屋に行ってみると良いと思います。


2014年3月16日日曜日

「幻触」と石子順造 静岡県立美術館

この展覧会は、放っておけない展覧会でしたが、ブログに書きにくい展覧会でした。そこで、展覧会に行った順とブログの順が逆転してしまいました。

展覧会には、静岡で結成された「幻触」というグループとそれに関わった評論家石子順造にまつわる作品や資料が展示されています。

ブログに書きにくかったわけは、まだまだ理解が及ばないことが多いためだと思います。
  • 『幻触」というグループがなぜ静岡で結成されたのか、それは東京や関西のアーティストの活動と何が異なっていたのか
  • 評論家とアーティストはどのような関係だったのか、
  • 今回も展示されている「ハイレッド・センター」や「もの派」との関係は?
  • 「幻触」の思想はどう引継がれていったのか
そんなことが気になります。

今ちょうど、東京国立近代美術館で「あなたの肖像 工藤哲巳展」が、渋谷区立松濤美術館で「ハイレッド・センター 直接行動の奇跡」が開催されています。この展覧会と合わせて、1960年代とは何かもう一度確認したいという思いが強くなっています。

「「幻触」と石子順造」展は、静岡県立美術館で2014年3月23日までの開催です。


相国寺承天閣美術館 円山応挙展

京都でちょっとイベントがあり泊りがけで行ってきました。二日目には時間が空いたので、相国寺承天閣美術館で開催されている「円山応挙展」へ。

今回珍しいところでは、応挙本邦初公開の相国寺開山堂襖絵、与謝蕪村の慈照寺方丈襖絵などがありました。応挙作品は、定番の《牡丹孔雀図》、《朝顔狗子図》などを含めて20点以上展示されています。さらに応挙が研究に使ったような明朝の絵画が展示されたり、弟子の長沢蘆雪、原在中の作品もあり楽しめます。

この展示を見て、改めて、写生と言いながら単純な写実で無い、応挙の表現の多様性に感心しました。開館三十周年記念「円山応挙展」は2014年3月23日までです。

今回の京都でのイベントは、いい年をしての大学(京都造形芸術大学)の通信教育部卒業式だったので、まだ桜は咲いていませんが、春の気分での美術館巡りでした。

2014年3月9日日曜日

ハイレッド・センター 直接行動の軌跡展 松濤美術館

ハイレッド・センターは高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之により1963年に結成された美術家のグループ。今回の展覧会は、ハイレッド・センター結成50周年にちなんだもので、名古屋市美術館から渋谷区立松濤美術館に巡回されています。

ハイレッド・センターの位置づけを鳥瞰的に見れば、辻惟雄の『日本美術の歴史』にあるように、ダダ、ネオダダの日本に於ける表れだと考えられます。もう少し、その時代にズームしてみるならば、1950年代から1960年代初頭にかけては、政治的・社会的問題を意識したルポルタージュ絵画などが出現し、フランスのミシェル・タピエが仕掛けたアンフォルメルがブームを呼び、読売アンデパンダン展の中で芸術表現の拡張が模索がされた時代です。1960年代になると、アメリカのネオ・ダダなどと通底する従来の絵画・彫刻を超えたアート概念が提唱されていきます。「反芸術」がいわれたのもこの時期になります。このような時代にハイレッド・センターが出現してきます。

今回の展覧会では、ハイレッド・センターが行ったハプニング(今の言い方ならパフォーマンス)である、「山手線のフェスティバル」、「第5次ミキサー計画」、「第6次ミキサー計画」、「シェルター計画」、「大パノラマ展」、「ドロッピング・ショー」、「首都圏清掃整理促進運動」などの記録が展示されています。また、意図せず行うことになった「模型千円札裁判」に関しても充実した資料が展示されています。さらに各作家の代表的な作品の展示もあります。

この展覧会に行かれたら、ぜひ図録(2000円)も買って資料(証拠?)を精査し、目撃者気分・共犯者気分を味わうことをお勧めします。展覧会の楽しみが倍加します。

私には、「後に残らない行動自体をアートとする」芸術概念の拡張を目の当たりにすることも刺激的でしたが、個々の作家のアーティストとしての力量にも惹かれました。高松次郎の紐を使ったり影を使ったりする空間表現の追求、中西夏之のプラスチック・砂・洗濯バサミなど物質への執着、赤瀬川原平のオブジェクトを異化するコラージュ作家としての面白さに関心しました。

松濤美術館での「ハイレッド・センター 直接行動の奇跡展」は2014年3月23日までです。今東京国立近代美術館で開催されている「工藤哲巳回顧展」と共に観ると、この時代が良くわかると思います。


2014年2月23日日曜日

イメージの力ー国立民族学博物館コレクションにさぐる 国立新美術館

大阪に国立民俗学博物館があるのは知っていましたが、これまで行く機会は逸していました。今、そのコレクションの中からイメージに着目した展覧会が、東京の国立新美術館で始まったので早速行ってきました。

入るとすぐにパプアニューギニアをはじめとする仮面に出迎えられます。アートというよりも民俗学の地味な資料なのでないかと思っているところに、一発ガーンときます。その後は高さ6メートルを超えるような葬送に使う塔とか、チベットの仏教美術とかあって、息もつけないほど引き込まれます。

後半の展示では、現代の文明が各地の地元の文明とどう重なりあっていくのかというテーマになります。ビール瓶形の棺桶やメルセデスベンツ形の棺桶など、なかなか見られないものがあります。最後は日常使う道具を美術館に持ち込むとどうなるかという展示になっています。

ヨーロッパのルネサンス以降のアートや、中国の宋時代以降の洗練されたアートも良いですが、人間が造形にいかに関わってきたのを考える時、その原点につながると言えるような様々な民族の造形表現にぜひ触れてみたいものです。金曜日の夜に行ったのですが、お客さんがそれほど多くなかったのをたいへん残念に思いました。

「イメージの力 国立民族学博物館コレクションにさぐる」は2014年6月9日まで国立新美術館で開催です。

展示内容の詳細は、国立新美術館のWEBへ ⇒
http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/power_of_images/

2014年2月16日日曜日

アンディ・ウォーホル展 永遠の15分 森美術館

20世紀らしいアーティストを一人挙げるとすると、それはアンディ・ウォーホルではないでしょうか。ウォーホルは、産業社会から消費社会へ変わっていく中で、題材としてパッケージに入った食材や、マリリン・モンローや毛沢東などのアイコンを使いました。また複製の時代に相応しく、複製することをアートとして見せました。そして、アーティストを、職人でも、孤高の人でもない、ビジネス・パーソンとしました。

そんなアンディ・ウォーホルの全貌を紹介するのが、今、森美術館で開催されている「アンディ・ウォーホル展 永遠の15分」です。この展覧会は、ウォーホル没後25周年を記念して、アメリカのペッツバーグにあるアンディ・ウォーホル美術館の収蔵品を中心に構成され、2012年からシンガポール、香港、上海、北京と巡回していました。今回の東京が最後の巡回地になります。展覧会では、ウォーホルが商業デザイナーだったころから晩年までの活動全体がカバーされ、展示も、シルクスクリーン作品ばかりでなく、ウォーホルが制作を行ったシルバー・ファクトリーの一部が原寸大で再現されていたり、実験映画の映像作品があったりと多彩です。

私にとっては、マリリンや、キャンベル・スープ缶などは、いつものという感じでしたが。初期のデザイン、ファクトリーの再現、縫合写真、ヴィデオ作品、タイムカプセルなど、今まで見たことが無い作品や資料も多く、ウォーホルを改めて知る良い機会になりました。

20世紀美術に関心がある方には見逃せない展覧会だと言えると思います。「アンディ・ウォーホル展 永遠の15分」は森美術館で、2014年2月1日から5月6日まで開催されています。


http://www.mori.art.museum/contents/andy_warhol/about/index.html