金曜日の夕方は東京駅近くのブリヂストン美術館に行ってみたくなるということで、「カイユボット展」へ。
ギュスターブ・カイユボットは1848年生まれ1894年没。印象派の画家たちのスポンサーでしたが、自らも絵を描き印象派展にも出展しています。
ブリヂストン美術館はカイユボットの《ピアノを弾く若い男》を購入したこともあると思いますが、今回の展覧会は気合いが入っています。60点以上のカイユボットの各地の美術館にある作品や個人蔵の作品が展示されています。また、弟のマルシェル・カイユボットの写真が多数展示されています。それに加えて、当時のパリの町をデジタルな装置で辿れるような展示や、カイユボットの人脈を辿ってみられるような展示もあります。
当時の印象派の画家達のなかで、カイユボットは画家としての評価は高くありませんでしたが、今見てみると、当時のブルジョアジーの心象をたどるのに貴重です。造型的には、すこし奇抜な構図と、光の表現に、特徴があるように思われます。ビルの受けから下を見下ろしたような構図が合ったり、逆行の光の表現があったりします。
マネ、ルノアール、ピサロ、シスレーとは異なる、19世紀の印象派の画家を見てみたいと思ったら、一度は行ってみると良い展覧会だと思います。
「カイユボット展」は2013年9月29日までです。
Musaとはギリシャ神話で文芸の女神です。MusicやMuseumの語源にもなっています。Sphereは英語で分野・領域の意味です。このブログの名前は、このMusaとSphereを合わせました。美術・アートに関して、いろいろ書いてみたいと思います。
2013年10月18日金曜日
2013年10月14日月曜日
特別展「上海博物館 中国絵画の至宝」 東京国立博物館
今、東京国立博物館・東洋館の4階の1室で、上海博物館の北宋から清までの絵画が展示されています。内容が充実しているにもかかわらず、総合文化展の料金で観ることができます。(私はパスポートをもっているので、パスポートでOK)
五代の《閘口盤車図巻(こうこうばんしゃずかん)》は、日本でも話題になった《清明上河図》のようなタッチで、街中で粉を挽く風景が描かれています。細かい描写は必見です。
北宋、南宋時代は山水画が完成された時代です。今回は、北宋時代の王詵(おうしん)《煙江畳嶂図巻(えんこうじょうしょうずかん) 》、南宋の馬麟(ばりん)《楼台夜月図頁(ろうたいやげつずけつ)》など、見逃せません。
文人画が成熟したといわれている元代からは、長大な跋文が付いている銭選《浮玉山居図巻》、倪瓚《漁荘秋霽図軸》、一本の樹木が描かれている、李士行《枯木竹石図軸》、王冕《墨梅図軸》。異民族支配の中で文人はどのような表現に達したのか興味が尽きません。
明代の絵画では、職人画家の浙派と、文人画家の呉派を比較したりできます。どちらが良いというよりも、お互いに刺激し合って絵画が発展したように思われます。雪舟にどう影響したのかなどと観るのもおもしろいとおもいます。
清代では、惲寿平の《花卉図冊(8開)》が見応えがあります。無条件にきれいです。
今回の展示は作品の展示替えがあります、前期は10月1日から10月27日まで、後期が10月29日から11月24日です。それぞれ展示期間は1ヶ月ないので、見逃さないように注意が必要です。
普段オーディオ・ガイドは使わないのですが、今回のオーディオ・ガイドは詩の説明などがあり、役にたちました。
五代の《閘口盤車図巻(こうこうばんしゃずかん)》は、日本でも話題になった《清明上河図》のようなタッチで、街中で粉を挽く風景が描かれています。細かい描写は必見です。
北宋、南宋時代は山水画が完成された時代です。今回は、北宋時代の王詵(おうしん)《煙江畳嶂図巻(えんこうじょうしょうずかん) 》、南宋の馬麟(ばりん)《楼台夜月図頁(ろうたいやげつずけつ)》など、見逃せません。
文人画が成熟したといわれている元代からは、長大な跋文が付いている銭選《浮玉山居図巻》、倪瓚《漁荘秋霽図軸》、一本の樹木が描かれている、李士行《枯木竹石図軸》、王冕《墨梅図軸》。異民族支配の中で文人はどのような表現に達したのか興味が尽きません。
明代の絵画では、職人画家の浙派と、文人画家の呉派を比較したりできます。どちらが良いというよりも、お互いに刺激し合って絵画が発展したように思われます。雪舟にどう影響したのかなどと観るのもおもしろいとおもいます。
清代では、惲寿平の《花卉図冊(8開)》が見応えがあります。無条件にきれいです。
今回の展示は作品の展示替えがあります、前期は10月1日から10月27日まで、後期が10月29日から11月24日です。それぞれ展示期間は1ヶ月ないので、見逃さないように注意が必要です。
普段オーディオ・ガイドは使わないのですが、今回のオーディオ・ガイドは詩の説明などがあり、役にたちました。
2013年10月13日日曜日
ターナー展 東京都美術館
東京都美術館で、テート美術館の収蔵品を中心にした「ターナー展」が開催されています。
ターナーというと嵐の海景の作品を思い浮かべるかもしれませんが、この展覧会を観ると、ターナーは18世紀から19世紀前半の絵画へのニーズをくんで様々な作品を制作していることがわかります。若い頃の、各地の景観を描く地誌的風景画、クロード・ロランのような17世紀フランスの風景画家にならった歴史的風景画、イギリス貴族のグランド・ツアー的視点で描かれたイタリア古代の建造物などを描いた絵、崇高さを表現しようとするロマン的なテーマの絵。
気に入ったのは、絵の受容者の好みや意図に気をつかった大きな油絵の絵より、水彩・グワッシュでターナーが風景表現の可能性を追求した絵でした。
反対に、むりに(私はむりにと感じてしまいましたが)歴史的風景画にしようとして人物を書き込んだ絵はあまり感心できなかったというのが正直な所です。また、《平和ー水葬》など劇的な場面を描いた、絵画的・造型的追求というよりもロマン主義的主題にウェイトがある作品にもちょっとついていけないものを感じてしまいました。
ゴンブリッチは『美術の物語』のなかで、「伝統の解体後、画家に残された可能性は二つ、ターナーの道を行くかコンスタブルの道を行くかのどちらかであった。絵を書く詩人となり、感動的で劇的な効果をねらうか、それとも眼の前のモティーフにこだわり、正直に必要に自然の追求をつづけるか」と書いていますが、私はコンスタブルに1票でしょうか。
そうは言っても、この展覧会は一度見に行く価値があります。東京都美術館で「ターナー展」は2013年12月18日までの開催です。
ターナーというと嵐の海景の作品を思い浮かべるかもしれませんが、この展覧会を観ると、ターナーは18世紀から19世紀前半の絵画へのニーズをくんで様々な作品を制作していることがわかります。若い頃の、各地の景観を描く地誌的風景画、クロード・ロランのような17世紀フランスの風景画家にならった歴史的風景画、イギリス貴族のグランド・ツアー的視点で描かれたイタリア古代の建造物などを描いた絵、崇高さを表現しようとするロマン的なテーマの絵。
気に入ったのは、絵の受容者の好みや意図に気をつかった大きな油絵の絵より、水彩・グワッシュでターナーが風景表現の可能性を追求した絵でした。
反対に、むりに(私はむりにと感じてしまいましたが)歴史的風景画にしようとして人物を書き込んだ絵はあまり感心できなかったというのが正直な所です。また、《平和ー水葬》など劇的な場面を描いた、絵画的・造型的追求というよりもロマン主義的主題にウェイトがある作品にもちょっとついていけないものを感じてしまいました。
ゴンブリッチは『美術の物語』のなかで、「伝統の解体後、画家に残された可能性は二つ、ターナーの道を行くかコンスタブルの道を行くかのどちらかであった。絵を書く詩人となり、感動的で劇的な効果をねらうか、それとも眼の前のモティーフにこだわり、正直に必要に自然の追求をつづけるか」と書いていますが、私はコンスタブルに1票でしょうか。
そうは言っても、この展覧会は一度見に行く価値があります。東京都美術館で「ターナー展」は2013年12月18日までの開催です。
2013年9月29日日曜日
清雅なる情景 日本中世の水墨画 根津美術館
根津美術館はいつも良い展覧会を開催していますが、今回の「清雅なる情景 日本中世の水墨画」も楽しめます。
気になった作品は、
気になった作品は、
- 滝が目をひく、芸阿弥筆《観瀑図》一幅、室町時代 1480。芸阿弥は将軍家に仕える同朋衆、能阿弥の子、相阿弥の父
- 観音菩薩が随分くつろいだ姿をしている、赤脚子筆《白衣観音図》一幅、室町時代 15世紀。白衣観音は三十三観音の一つ。赤脚子は東福寺画系の絵師、中国唐代以降の禅宗教団のなかで生まれた図像で、観音が波が打ち寄せる岩の上でくつろぐ姿を描く
- 中国元代の因陀羅筆の《布袋蔣摩訶問答図》一幅、元時代 14世紀。人の顔がおもしろい
- 墨の濃いところと薄いところの対比が美しい、高先景照題詩の《山水図》一幅、室町時代 15世紀。
水墨画に関心があればぜひ観ておきたい展覧会です。2013年10月20日まで、根津美術館。
2013年9月21日土曜日
六本木クロッシング2013 アウト・オブ・ダウト展 森美術館
いつも、美術館にいく皆さんと、経始まる「六本木クロッシング2013 アウト・オブ・ダウト展」へ。
3年毎に行われる六本木クロッシング、今年はオーストラリアとアメリカのキュレーターを含めて作品を選び、社会的問題意識も持って現代アートの「いま」と問いかける企画になっているようです。「疑い」は「疑いもなく」に変わるでしょうか。
展示は、前半はアートが造形にとどまらず、社会につながる意味や象徴と強く繋がり、様々な問いかけをする作品。後半は、アートという表現手段を追求した作品が多かったように感じました。
私が面白いと思ったのは、
3年毎に行われる六本木クロッシング、今年はオーストラリアとアメリカのキュレーターを含めて作品を選び、社会的問題意識も持って現代アートの「いま」と問いかける企画になっているようです。「疑い」は「疑いもなく」に変わるでしょうか。
展示は、前半はアートが造形にとどまらず、社会につながる意味や象徴と強く繋がり、様々な問いかけをする作品。後半は、アートという表現手段を追求した作品が多かったように感じました。
私が面白いと思ったのは、
- 小林史子の椅子を積み上げたインスタレーション。座るという機能を持たなくなった椅子が、様々な記憶の残滓として巨大な壁になっているような作品。
- 金氏徹平の様々なイメージが仮想的な奥行きを持ち集積した作品。
- サイモン・フジワラの、ほんものの岩や、岩的なものに、宗教的な想いを馳せる作品。
社会的な問題意識やメッセージと関わりをもっている、繋がっていると示すだけでは、それをアートで行う必要が無い。アートであるがゆえに表現できる物は何かと、考えさせられる展覧会でした。
六本木、森美術館で、2014年1月13日まで。
2013年9月13日金曜日
システィーナ礼拝堂500年祭記念 ミケランジェロ展 天才の軌跡 国立西洋美術館
日本で西欧のオールド・マスターの展覧会が開催されると聞くと、どんな作品がくるのか気になります、本当に観るべき作品が来るのだろうかと。特に、ミケランジェロともなれば、大きなフレスコの作品や彫刻作品が、日本で観られるなど考えられません。
今回の展覧会も第一級の作品を期待せず、日本でミケランジェロという名前をつけどのような展覧会が可能なのかと興味をもって観ると楽しめる展覧会になっているのではないでしょうか。ミケランジェロの子孫が引継ぐ、フィレンツェのカーサ・ブオナローティのコレクションの中から、ミケランジェロ15歳のときのレリーフ《階段の聖母》、死の前の年の木彫《キリストの磔刑》、フレスコ画を描くための習作素描、自筆手紙などが展示されています。
国立西洋美術館の、「システィーナ礼拝堂500年祭記念 ミケランジェロ展 天才の軌跡」は2013年9月6日から11月17日までです。
今回の展覧会も第一級の作品を期待せず、日本でミケランジェロという名前をつけどのような展覧会が可能なのかと興味をもって観ると楽しめる展覧会になっているのではないでしょうか。ミケランジェロの子孫が引継ぐ、フィレンツェのカーサ・ブオナローティのコレクションの中から、ミケランジェロ15歳のときのレリーフ《階段の聖母》、死の前の年の木彫《キリストの磔刑》、フレスコ画を描くための習作素描、自筆手紙などが展示されています。
国立西洋美術館の、「システィーナ礼拝堂500年祭記念 ミケランジェロ展 天才の軌跡」は2013年9月6日から11月17日までです。
2013年9月1日日曜日
米田知子 暗なきところで逢えれば 東京都写真美術館
もしかしたら、何でもない、風景や建物の写真。
でも、それにちょっとした説明が与えられると、それは人の記憶の記録に変容してしまう。
そんな写真が並んでいるのが、米田知子の「暗なきところで逢えれば」展です。
写真についている説明は・・・・・・
でも、それにちょっとした説明が与えられると、それは人の記憶の記録に変容してしまう。
そんな写真が並んでいるのが、米田知子の「暗なきところで逢えれば」展です。
写真についている説明は・・・・・・
- 「サハリン島」より「帝政ロシア時代、囚人が掘ったトンネルの入口、”3人兄弟の岩”をながめて」
- 「Japanese House」より「日本統治時代に設立された台湾銀行の寮、後の中華民国中央銀行職員の家」
- 「積雲」より「平和記念日・広島」
- 「積雲」より「避難した村・飯館村・福島」
- 「Scene」より「 野球場-終戦直前まで続けられた特攻出撃の基地の跡/知覧 」
- 「見えるものと見えないもののあいだ」より「安部公房の眼鏡ー『箱男』の原稿を見る」
- 韓国国軍機務司令部だった建物「Kimusa」
- 「パラレル・ライフ:ゾルゲを中心とする国際諜報団密会場所」より「小石川植物園」
写真自体と、それに付けられた説明と、観る人の想いが重なったときに、作品が現われてきます。
森美術館の「六本木クロッシング2010展:芸術は可能か?」のアーティストトークで、米田知子さんが話された内容が、森美術館の公式BLOGに掲載されていますので、そちらも参照してみてください。
http://moriartmuseum.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-d030.html
「米田知子 暗なきところで逢えれば」展は、東京都写真美術館で、2013年9月23日までです。
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